どうも、ロンドン駐在員のぷーたです。
今回の記事は、次のような方のお悩みを解決するために書いています。
- イギリスでポンドを増やしたいけど、リスクのある投資はしたくない。どうすればいい?
- イギリスで貯蓄をしてみたいけど、どこの銀行が得なの?
- イギリスのRegular Savings Account(積立貯蓄口座)の利率を知りたい!
イギリス赴任が決まったら資産運用の方針を考えよう
イギリス赴任が決まったら、資産運用の方針を考えましょう。
駐在員の方に話を聞くと、みなさん不思議なくらいに投資や貯蓄でお金を増やすことを考えていません。イギリスではポンドでお金を受け取りますし、今後日本へ変えることを考えれば、元々ポンド→日本円の為替リスクを受ける前提なのですから、もう一歩踏み込んで、投資に関するリスクを取って、お金を増やすことを考えてみてもいいと思います。
イギリス赴任が決まったら、給料として受け取るポンドの内、どれくらいを資産運用、つまり投資や貯蓄に回すか、シミュレーションしてみましょう。
例えば、駐在期間が5年、毎月£500を毎月運用に回した場合、5年後の価値は以下のようになります。
- 年利0%(全く運用しない):£30,000
- 年利3%で運用した場合 :£32,323(+£2,323)
- 年利4%で運用した場合 :£33,149(+£3,149)
- 年利5%で運用した場合 :£34,003(+£4,003)
年利0%と3%の差でも、£2,323ですから大きな差ですよね。
もちろん資産運用は予定通りに行くかはわかりませんし、損をしてしまうかもしれません。そこまでリスクを取るのは嫌だな、と思われる方はせめてSavings Account(貯蓄預金口座)で運用することを考えてみませんか?
Savings Accountは元本が保証されます。
私は日本での貯蓄は楽天銀行でしています。楽天証券の証券口座と紐つけるだけで、普通預金金利が0.1%という、日本としては、多くの定期預金でも達成できず、10年もの日本国債と同じ破格の金利がつきます。
イギリスでは、日本よりも金利が高く、Savings Accountで1%以上の金利を得ることも可能です。Savings Accountでの資産運用が1つの選択肢になると考えます。
イギリスの銀行口座の種類を紹介
普通預金口座(Current Account)
これはイギリス駐在のみなさんが持っている口座ですね。イギリスの会社の給料の入金や、毎月の電話代、インターネットサービス代、水道光熱費等支払をこの口座でおこなっているはずです。
このCurrent Accountの特徴は以下のとおりです。
- 預金利息がつかない、またはついても低い利息になっている
- 口座の維持には手数料や一定の要件が必要な場合がある(銀行によって異なる)
口座の維持に関して言えば、HSBCであればAdvance Bank Accountの場合£1,750/月の入金または£10,500/6ヶ月の入金が口座維持の条件になっていますし、Santandar銀行の1|2|3 Current Accountでは£500/月の入金と2つのDirect Debit(口座引落)が口座維持の条件となっています。
Current Accountを持っていれば、その銀行の貯蓄預金口座(Savings Account)が利用できるようになるのも大きなポイントです。
ですので、基本的にはCurrent Accountを持っている銀行のSavings Accountを作って貯蓄を進めていくのが最初のステップになりますね。
貯蓄預金口座(Savings Account)
Current Accountは利息がつかない、または利息がついても低い銀行口座ですが、Savings Accountは貯蓄のための口座です。
- 預金利息がつく
- 積立口座や定期預金口座、入出金が自由な口座など様々な種類の口座がある
各銀行の口座にはいろいろな種類があり、Current AccountとSavings Accountの違いは一概には説明できません。ですが貯蓄用口座であるため原則預金金利がつくというのが前提になります。
保有するCurrent Accountの種類によって、利率(AER)やSavings Accountの種類が変わるなど、取引条件は人によって様々です。また、Savings Accountにも、種類がたくさんあって、すべてを比較検討するのは大変です。
例えば、HSBC銀行のSaving Accountについて見てみましょう。
- Regular Savings Account(積立貯蓄口座):
£25~250/月の積立設定、貯蓄額は最大£3,000まで、1年経過で利息とともに積立額を受け取り、年利(AER)1%、 - Fixed Rate Saver(定期預金口座):
1年~2年の期間設定、貯蓄額は£2,000~£1百万、年利(AER)は0.15~0.20% - Easy access savings accounts(引き出し可能貯蓄口座):
引き出し可能、£1~、年利(AER)は0.01~0.05%、
いろいろな銀行のSavings Accountをチェックしてみましたが、傾向として積立貯蓄口座の金利が高く、それ以外は大したことがありません。
今回の記事ではRegular Savings Accountについて解説を進めていきます。
Regular Savings Accountの特徴
ここからはSavings Accountの中では、金利が高めで魅力なRegular Savings Accountについて紹介していくのですが、まず前提として、Regular Savings Accountの特徴を理解しておきましょう。
満期時の受取額は最大積立額×年利ではなくその半分程度
Regular Savings Accountは、積立貯蓄口座という性質上、実際のところは1%の金利をまるまる受け取れるのは最初の月に投資した金額のみで、12ヶ月間で毎月£250を積み立て続けて得られる金利は£16程度です。
£3,000を投資するのですから、1%の投資で£30受け取れるかな?と期待してしまいますが、実際は、
Regular Savings Accountでは、合計積立金額の半分の金額に年利をかけた金額+αが受取利息になる
になることを理解しておきましょう。もちろんそれでも少ない金額ではありませんので、検討する価値は十分にあります。
更新できないので多額の金額の運用には向かない
先ほどご紹介したHSBCのRegular Savings Accountでは、月当たりの積立額が最大で£250/月です。毎月の生活費から積み立てる、という意味ではそれなりに大きな金額かもしれませんが、このRegular Savings Accountを使って多額の資金の運用をするということはできません。
例えば、1年経って、£3,016程度の金額を受け取った後、この金額を再度Regular Savings Accountに入れようとすると、また£250/月の積立から始まります。そのため、Current Accountにある残りの£2,766の行き先を考えてあげなければなりません。
満期になると自動的に解約され更新されない
前の項目と関係しますが、1年、銀行によっては2年の期間が経過して満期になると、自動的に解約されて元本+利息がCurrent Accountに払い戻しされてしまいます。
たとえ1年で積立貯蓄額を£3,000まで伸ばして、この全額に対して1%の金利を受け取りたい!と思っても、Current Account(利息なし)に勝手に払い戻されますので、そのままにしておくと、1ペンスもお金を受け取れなくなってしまいます。
また、積立設定自体も自動更新されません。そのため、一度満期で払い戻しを受けたら、自分で再度最初から積立の設定をしなければなりません。
毎月積み立てが必要
Regular Savings Accountは、積立貯蓄口座ですから、毎月の積立が必要です。積立金額は変更が可能ですが、最低積立金額が設定されているため、原則積立をしないということはできません。
そのため、最低積立金額は少なくとも入金元のCurrent Accountに残しておく必要がありますので注意が必要です。
お金を使いすぎて入金可能な金額がない、となってしまうと口座が解約されてしまう場合もあります。一方でお金がないからその月の積立をしない、ということができるRegular Savings Accountもあるようですが、これはその口座の条件によりますので、確認しておきましょう。
解約すると金利を放棄することになる
Regular Savings Accountのお金がすぐに必要、となったときに解約すれば払い戻しは受けられますが、中途解約になりますので金利を受け取ることはできません。
せっかくの貯蓄口座なのですから維持できるように資金管理には気をつけましょう。
Regular Savings Accountの紹介
さて、ここからはイギリスの銀行や銀行以外のRegular Savings Accountを積立金額、金利とともに紹介します。
銀行のRegular Savings Account
まずは銀行です。すべての銀行を紹介することはできませんので、ここでは金利が高めな、狙っていきたい銀行を4つ紹介します。
銀行/口座名 | 金利(AER) | 毎月の積立金額 | 満期時の受取利息 |
---|---|---|---|
NatWest Bank/Digital Regular Saver | 3.04% | £1~50 | £9.88 |
Royal Bank of Scotland/ Digital Regular Saver | 3.04% | £1~50 | £9.88 |
Lloyds Bank/Club Lloyds Monthly Saver
|
1.00% | £1~400 | £24.00 |
HSBC/ Regular Saver – Standard Rate
|
1.00% | £25~250 | £16.25 |
イギリスの4大銀行のうち、Barclays銀行だけは使えそうなRegular Savings Accountがありませんでした。子供用の積立には金利1.51%の良さそうなものがあるのですが、通常のものはなさそうです。
それぞれの特徴を見てみると、金利の高いNat West、RBSは毎月の積立の限度が少なく、毎月の積立の限度が大きいLloydsやHSBCは金利が低いです。
銀行のRegular Savings AccountはCurrent Accountを保有していることが口座開設の条件になっていることが多く、複数の銀行の口座を開設する手間をかけてまで得られるメリットがあるか、と考えるとあまり手を広げすぎるのも考えものです。
まずは会社の給料振込口座の銀行でRegular Savings Accountがあるかを確認して、可能であれば使ってみるのがオススメですね。
銀行以外のRegular Savings Account
続いて、銀行以外のRegular Savings Accountです。Building Societyとは、日本語で言うと住宅金融組合となり、銀行業務やその他の金融サービス、特に住宅ローンを提供する組合組織の金融機関です。
銀行とは区別して考えます。
金融機関名/口座名 | 金利(AER) | 毎月の積立金額 | 口座の条件等 |
---|---|---|---|
Yorkshire Building Society
/Loyalty Regular Saver |
3.50% | £1~500 | 2020/1/2までに開設した人対象 |
Cambridge Building Society/Loyalty Regular Saver
|
3.00% | £100~100 | Easy Access等のSavings Accountを1年間維持 |
West Brom Building Society/Adult’s Fixed Rate Regular Saver (Issue 4)
|
2.00% | £10~100 | Current Account不要、ただしこの支店に行って口座開設する必要あり |
Coventry Building Society /Regular Saver(5)
|
1.05% (変動) |
£1~500 | Current Account不要 |
Nationwide Building Society/Start to Save
|
1.00% (変動) |
£50~100 | Current Account不要 |
Principality Building Society/1 Year Regular Saver Bond
|
1.00% | £20~250 | Current Account不要、厳密にはSavings Accountではない |
いろいろな種類がありますね。Yorkshire Building Societyのオファーは大変魅力的ですが、残念ながら今から開設することはできません。
この中から選ぶとすれば、Coventry Building Societyになるかな、と思いますが金利が変動(記載のないものは固定金利)ということを考えると、どう変化するかわかりません。£500/月積み立てて、£34程度の利益というのは少なくありませんので、トライしてみる価値はあるかもしれません。
Building Societyの中から選ぶとすれば、口座開設の手間を考えると、
- Current Account不要
- オンラインで全て完結する
ものを選ぶのが良さそうです。
まとめ
イギリスのSavings Accountについて説明しました。特にRegular Savings Accountは利率も高く、オススメです。
ただ、複数口座を開設できるとはいえ、1つの銀行で運用できる資金はそれほど大きくないため、あまりに手を広げすぎても良くないと思います。特にCurrent Accountの開設から始めていく場合、口座維持手数料がかからないことをしっかりと確認しておかないと、金利以上の手数料を取られることになり、本末転倒です。
私としては、現在HSBCでRegular Savings Accountを開設しており、それを積立のベースにして、余剰資金のうち通常のSaving Account(定期預金)に組み入れないもののいち部をBuilding SocietyのRegular Savings Accountに入れていく、ということを考えたいと思います。
定期預金の金利は期間が固定されるリスクがありながら0.1~0.5%程度なので、1年間で1%を期待できるRegular Savings Accountは半分を金利として考えても、かなり魅力的ですよね。
ありがとうございました。