どうも、ロンドン駐在員のぷーたです。
今回の記事は、次のような疑問を解消するために書いています。
- イギリスで電子Visaが導入されると聞いたのだけど、電子Visaって何?
- イギリスの入国でETAが必要になるのはいつから?
- イギリスへの入国に必要なETAの申請方法を教えて!
2024年のイギリスのVisaに関する大きな変化
イギリスでは今年2024年にVisa(査証)について大きな変化が訪れています。その変化は下記のとおりです。
- イギリス居住者へのBRPカードの2024年12月31日時点での廃止、eVisaへの切り替え
- 入国時に一部の国に必要とされていたETA(Electronic Travel Authorisation)の対象国の大幅拡大
それぞれ解説していきます。
イギリス居住者へのBRPカードの2024年12月31日時点での廃止、eVisaへの切り替え
イギリスにいる日本人駐在員のような企業間移転Visa(Senior or Specialist Worker visa (Global Business Mobility))保有者や永住権(Indefinite Leave to Remain)保有者には2024年現在BRP(Biometric Residence Permit)カードが付与されています。
このBRPカードには滞在許可期限が記載されており、BRPカードがあれば自分が正当なVisaを保有した居住者であることを証明することができます。
ですが、2024年12月31日をもってBRPカードは廃止されeVisaへと切り替わることが発表されています。現在BRPカードの保有者はeVisaへの切り替え申請をすることを呼びかけられています。この理由として、BRPカードが居住権の証明になるということもありますが、旅行などでイギリスを出た際、再入国する場合にはイミグレーションで現状BRPカードをチェックすることで入国可能かどうかを判断しているようなので、BRPカードがなくなることで、Visaによる確認が必要となるためです。
つまりは、イギリスの国外への旅行・出張をする際にはeVisaを保有しておく必要があるということですね。
こちらの記事ではBRPカードのeVisaへの切り替え申請方法について詳しく解説しています。
入国時に一部の国に必要とされていたETA(Electronic Travel Authorisation)の対象国の大幅拡大
続いて、イギリスの日本人駐在員には関係ないのですが、これから日本や他地域からイギリスに入国する方に関しては、注意をしておかなければいけない情報があります。
これが、イギリスにおけるETA適用範囲の拡大です。
ETAとは、先に記載したとおりElectronic Travel Authorisationの略で、日本語にすると電子渡航認証となります。同様の仕組みはアメリカ合衆国でESTA(Electronic System for Travel Authorization)やオーストラリアでETA(またはETAS)が導入されており、他にも多くの国で導入されています。
基本的にETAはオンラインでVisa申請をおこないますので、電子Visaとも呼ばれています。このイギリスのETA導入について、詳しく説明していきます。
イギリスのETA導入
当初は中東からの入国手続きを簡易にするために導入
イギリスのETAは、2023年11月15日にEVW(Electric Visa Waiver、電子ビザ免除)申請の対象となっていたバーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、UAE の6カ国の申請をETAに切り替える形で導入されました。
このEVWですが、入国時にVisaが必要な国の一部に対し、免除を認めるという趣旨のものでした。中国やロシアなどVisaが必要な国の国民は、イギリスに入国したい場合、Visaの申請が必要です。Visaの取得には2024年現在で115ポンドの費用が必要であり、かつ所要期間は3週間となります。
ですが、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、UAEの国民に対してはこのVisa取得を免除する申請をすれば、Visaを取得しないでもイギリスに入国ができるようになりました。
このEVW取得の費用は30ポンドで、電子申請のため24時間以内に取得できることもあり通常のVisa取得に比べれば便利なものでした。
そしてこのEVW取得をさらに便利にしたのがETA導入となります。ETAの費用は10ポンドですので、EVWの30ポンドに比べて3分の1になります。これだけを見ると、ETA導入は利用する側にとって改善のようにも思えます。
ETAが必要な国が拡大
ですが、イギリスは2024年になってETA対象国を大幅に拡大することを発表しました。今まではVisaの必要なかった日本を含む各国の国籍保有者に対して、入国するのに10ポンドの費用を払ってETAを取得することが必要となりました。今までVisaの不要だった国の方にとっては、単なるコスト増となってしまいます。
この点は、イギリスビザ・移民局(UKVI, UK Visas and Immigration)は、ETAがイギリス国境に関する変革とデジタル化、つまりはデジタルトランスフォーメーション(DX)の一環として導入されると説明しています。またETA導入の効果として、イギリスへの訪問者の受け入れをよりスムーズにすることができ、国境警備におけるイギリスの世界的リーダーとしての地位を固めることができるということです。
ですが、単純にお金を稼ごうとしているだけにも見えてしまうのは私だけでしょうか?ETAの自体は2年間またはパスポートの期限のどちらか早い方まで有効であり、1度取得してしまえば複数回のイギリスへの入国が可能となりますが、単純に旅行者の負担増にもなってしまいますね。
このETAの導入は2段階に分かれており、国籍によって導入時期が異なります。
- 非ヨーロッパ国籍者:2025年1月8日からイギリスへの渡航にETAが必要(申請は2024年11月27日から可能)
- ヨーロッパ国籍者:2025年4月2日からイギリスへの渡航にETAが必要(申請は2025年3月5日から可能)
非ヨーロッパ国籍者
下記の非ヨーロッパ国籍者は、2025年1月8日からETAが必要です。日本もこの対象故国に含まれています。
アメリカ合衆国 | アルゼンチン | アンティグア・バーブーダ |
イスラエル | ウルグアイ | オーストラリア |
ガイアナ | カナダ | キリバス |
グアテマラ | グレナダ | コスタリカ |
コロンビア | サモア | シンガポール |
セイシェル | セントクリストファー・ネイビス | セントビンセントおよびグレナディーン諸島 |
セントルシア | ソロモン諸島 | チリ |
ツバル | トリニダード・トバゴ | トンガ |
ナウル | ニカラグア | ニュージーランド |
パナマ | パプアニューギニア | パラオ |
パラグアイ | バルバドス | ブラジル |
ブルネイ | ベリーズ | ペルー |
ボツワナ | マーシャル諸島 | マカオ特別行政区 |
マレーシア | ミクロネシア連邦 | メキシコ |
モーリシャス | モルディブ | 韓国 |
香港特別行政区 | 台湾 | 日本 |
ヨーロッパ国籍者
また、下記のヨーロッパ国籍者は2025年4月2日からETAが必要となります。
アイスランド | アンドラ | イタリア |
エストニア | オーストリア | オランダ |
キプロス | ギリシャ | クロアチア |
サンマリノ | スイス | スウェーデン |
スペイン | スロバキア | スロベニア |
チェコ | デンマーク | ドイツ |
ノルウェー | バチカン市国 | ハンガリー |
フィンランド | フランス | ベルギー |
ポーランド | ポルトガル | マルタ |
モナコ | ラトビア | リトアニア |
リヒテンシュタイン | ルーマニア | ルクセンブルク |
ETAの費用と所要時間
ETAの申請には先ほども述べたとおり10ポンドが必要です。ETAの申請から承認までの所要時間は3営業日以内ということです。EVWは24時間以内に承認されていたということですので、ETAも恐らく3日よりも早く承認が下りそうですが、ある程度早めに準備をしておくことに越したことはありません。
イギリスのETAの申請方法
イギリスETAを申請するにはスマホ、PCどちらからでもOK
イギリスのETAの申請方法は以下のとおりです。
- スマートフォンアプリ「UK ETA」で申請
- パソコンで申請
スマートフォンの場合、下記の条件が必要となります。
- iPhoneユーザー
-iPhone 7、7 Plus以降
-iOS 15以降
-179MB以上のストレージ容量
-3G、4G、5G、またはWiFiへの接続 - Androidユーザー
-Android 8.0以降
-165MB以上のストレージ容量
-3G、4G、5G、またはWiFiへの接続
-NFC(近距離無線通信)によるパスポートスキャンが可能
あまりにも古いスマートフォンであれば条件を満たさないと思いますが、ここ数年以内に購入したスマートフォンならば問題ないはずです。
なお、このスマートフォンの条件はeVisa申請でも同じです。
イギリスETAの申請手順
イギリスのETA申請手順は下記のとおりです。ここではスマホでの手続きについて見てみます。
- メールアドレスの登録
- パスポートの写真面の撮影・アップロードおよびICチップの確認
- 顔のスキャン(9 歳以下の子どもは不要)
- 顔写真の撮影、アップロード
- 自分自身について質問への回答
- 申請料の支払い
この工程は、eVisaの申請とほぼ変わりません。それぞれ見ていきましょう。
メールアドレスの登録
まずはメールアドレスを聞かれますので、入力して登録したメールアドレス宛に送られてくる6桁のセキュリティコードを入力します。
パスポートの写真面の撮影・アップロードおよびICチップの確認
まず、パスポートの写真をスマートフォンで撮影します。下記のように少し角度をつけて撮影すると光の反射で読み取りづらくなることを避けることが可能です。次にパスポートのICチップの読み取りをおこないます。下記のように斜めにした方が読み取りやすいです。
ちなみにあらかじめスキャンしてあるパスポートの写真をアップロードすることも可能なようです。
顔のスキャン(9 歳以下の子どもは不要)
続いて顔のスキャンをおこないます。これは顔写真の撮影と異なり、顔に当たる光を読み取っているようです。短時間ですがスマートフォンの画面がピカピカと光りますので、気をつけてスキャンをおこなってください。
顔写真の撮影、アップロード
今度は顔写真の撮影をおこないます。下記の注意事項があります。
- 影の出ない照明の下で無地の明るい色の背景の前で撮影
- カメラに対して真っ直ぐに撮影
- 目を開いて、顔はニュートラル(笑ったりしない)にする
- 頭と肩が写っていること
- 頭を覆うものを着用しない(宗教的または医学的な理由による場合を除く)
- 背後に影や物、人がいない
パスポートと同じ人物が申請することの確認となります。
自分自身について質問への回答
顔写真の撮影が終わると、今度は自分自身についての質問があります。質問の内容は下記のとおりです。
- 住所
- 仕事
- 犯罪歴
- その他の国籍のある場合その国籍
それほど手間はかからないと思います。
申請料の支払い
最後に申請料の支払いをおこなって完了です。ETAの取得には1人10ポンドかかります。これはたとえトランジットで短時間イギリスに立ち寄るという場合でも同じです。家族分の申請が必要な場合は、ちょっとした負担になってしまいますね。
支払いはクレジットカードやデビットカードの他にApple PayやGoogle Payも利用可能です。
まとめ
以上、日本人は2025年1月8日からイギリスに渡航するの必要となるETAについて解説しました。ここでまとめておきます。
- 2024年のイギリスのVisaに関する大きな変化は2つ!
-イギリス居住者へのBRPカードの2024年12月31日時点での廃止、eVisaへの切り替え
-入国時に一部の国に必要とされていたETA(Electronic Travel Authorisation)の対象国の大幅拡大 - イギリスのETA導入
-当初は中東(バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、UAE)からの入国手続きを簡易にするために導入された
-2025年1月8日からは非ヨーロッパ国籍者が、2025年4月2日からはヨーロッパ国籍者がイギリスに渡航する場合ETAが必要となる - ETAの費用と所要時間
-ETA申請には10ポンド必要で、所要時間は3営業日
-ETAは承認から2年間またはパスポートの期限のどちらか早い方まで有効 - イギリスのETAの申請方法
-イギリスETAを申請するにはスマホ、PCどちらからでもOK
-パスポートの写真、自分の顔のスキャン、顔写真撮影と質問に答えてお金を払えばOK
ありがとうございました。