どうも、ロンドン駐在員のぷーたです。
今回の記事は、次のような方の疑問を解決するために書いています。
- ロンドンに住むのに1ヶ月でどれくらいかかるの?
- ロンドンの西部の地域別家賃の目安を知りたい!
- ロンドンで生活を始めようと思っているんだけど、どの地域に何があるかよくわからないから教えて!
東京に比べて非常に家賃の高いロンドンで生活している私は、ロンドンの家賃事情がどうなっているか気になっており、定期的に調査を行うことにしました。
前回の調査はポストコードW3・W4・W5・W6・W12、イーリングやアクトン、ハマースミス、チジック、シェパーズブッシュなどを対象にしています。詳しくはこちらの記事を参照してください。

ロンドン家賃調査のルール
ロンドン家賃調査は下記の条件で実施することにしています。
- 調査対象はRightmoveの掲載物件とする
- ポストコードごとに調査する
- 家の形態・ベッドルーム数ごとのデータを確認する
※異常データを排除するために掲載件数が5件以上のもののみ対象とする
調査はRightmoveの掲載物件を対象とする
Rightmoveは、2000年に設立されたイギリスの不動産ポータルサイトで、現在ではイギリス国内の不動産市場において圧倒的なシェアを誇っているということです。Rightmoveでは不動産業者、住宅建設業者、大家さんなどが物件を掲載して、利用者はこれらの情報を元に賃貸や購入を判断することができます。
基本的にはこのRightmoveさえ見ておけば、イギリスでの不動産探しに困ることはないと思います。もちろん、住みたい地域の不動産屋を訪問するとRightmoveに掲載されていない物件を見ることができる可能性もありますが、まずはRightmoveをチェックして相場感や物件の場所などを確認しておくことは重要です。
こちらの記事でRightmoveの利用方法について詳しく解説しています。

ポストコードごとに調査する
調査はポストコードごとにおこないます。なお、ポストコードについての説明は下記のとおりです。
- ポストコード(Postcode)はイギリスで郵便物を配達用に仕分けするために設計されたエリアを指定するコード
- ポストコードは2~4桁の英数字のOutward codeと3桁の英数字のInward codeの組み合わせでできており、Outward codeとInward codeの間には必ずスペースが入る
- Outward codeは1~2桁の地域(Area)+1~2桁の地区(District)で構成されている
- Inwardは1桁のSector+2桁のUnitで構成されている
ポストコードの例
Outward code | Inward code | ||
Area | District | Sector | Unit |
WC | 1B | 4 | AR |
W | 5 | 2 | NU |
ポストコードは大まかな住所を特定するために使用され、6~8桁のコードすべてを指定すると、数十件程度の住宅に絞り込むことが可能です。そのため、カーナビやスマートフォンのナビを使用する際は、ポストコードを設定するだけで概ね目的地にたどり着くことが可能です。
今回の調査ではポストコードのOutward code(Area+District部分)を使用しておこないます。例えばイーリングブロードウェイであればAreaがW、Districtが5ですが、W5に含まれる賃貸物件を対象範囲としておこないます。
家の形態・ベッドルームごとに確認する
家賃調査をおこなうに当たって、ベッドルーム数に着目することは重要です。日本でも1LDKと4LDKの物件では家賃も大きく異なりますので、ベッドルーム数ごとにデータを集計しています。ただし、イギリスのRightmoveでは広さがきちんと掲載されていない物件も多いため、同じ4ベッドルームでも広さでの比較はできないことをご理解ください。
また、家の形態についても区分しています。家の形態はRightmoveでもさまざまなものが掲載されていますが、基本的には掲載数の多い下記の形態をチェックしています。
家賃調査:ロンドン西部編②
さて、ここから家賃調査についての結果を見ていきます。今回はロンドン西部編②として、下記のロンドン西部の青枠で囲った地域を対象とします。ロンドン西部編①がこの青枠の西側、赤枠部分でしたので、よりロンドン中心部に近づくことになります。家賃も上がっていくことが予想され、私としても楽しみです。
London.gov.ukサイトより
ポストコードで言うと、W2、W10、W11、W8、W14となります。さっそく見ていきましょう。
W2:Paddington地区の家賃
W2地域を見ていきます。このW2はパディントン地区です。日本人が多く暮らすイーリング・アクトン地区は、今はエリザベスラインが通っておりロンドン市内まで乗り換え無しで行くことができますが、かつてはGWR(Great Western Rail)でパディントン駅まで行ってから乗り換える必要がありました。またパディントンはヒースロー空港からヒースローエクスプレスがノンストップで運行していますので、多くの旅行者が訪れる駅でもありますね。
W2地区の範囲は下記のとおりです。面積の半分くらいがハイドパーク、ケンジントンガーデンに占められており、緑が多いエリアとも言えます。
地区名としてはPaddington、Bayswater、Hyde Park、Westbourne Green、Little Venice(一部)、Notting Hill(一部)が入ります。
行政区としてはWestminster、Kensington and Chelseaが含まれます。
W2地区にある公園や施設には下記のようなものがあります。
- ハイドパーク
- ケンジントンガーデン
- パディントン駅
- St. Mary’s Hospital
まずはベッドルーム別の家賃データを見てみます。
表の見方ですが、家賃については平均、中央値、最低額、最高額を表示しています。中央値というのは、家賃を最低額から最高額を並べてちょうど真ん中になる家賃を示しています。ロンドンでは物件によってはとんでもない高額になっている場合もあるため、平均がおかしくなってしまう可能性がありますので、中央値を見ていただくのが大体の家賃相場を見るにはふさわしいと考えています。
日本円でも換算しています。W2地区の家賃ですが、場所が場所だけに最高額家賃がとんでもないことになっています。
ベッドルーム・家の形態別でも見てみます。3ベッドルームになると平均でも月7,000ポンド(133万円)を超えていますので普通の収入では住むことは難しそうですね。
なお最高額が39,867ポンドになっているところが散見されますが、別の物件であるにもかかわらず、金額が同じになっています。不思議です。
W8:Kensington地区の家賃
W8地域を見ていきます。このW8はケンジントン地区です。億万長者の街と言われるホランドパークを含む地域であり、デイビット・ベッカムやエルトン・ジョンなども住んでいたそうです。
W8地域はこちらの範囲内になります。地区名としてはKensington、Holland Parkが入り、行政区としてはKensington and Chelseaとなります。
W8地区にある公園や施設には下記のようなものがあります。
- ホランドパーク
- Kensington Palace
- Design Museum
まずはベッドルーム別の家賃データを見てみます。さすが高級住宅地だけあって、3ベッドルーム以上は軒並み平均1万ポンド(190万円)を超えています。
最高額では1,000万円超の物件があります。1月の家賃ですからどれだけの年収がある人が借りるんでしょうね。そこまでお金があるのならば購入してしまったほうがいいような気もしますが、購入するには莫大な金額がかかるのでしょうね。
ベッドルーム・家の形態別もみてみます。
月の家賃なのに3桁万円が多くあります。
W10:Ladbroke Grove地区の家賃
W10地域を見ていきます。このW10はラドブルック・グローブ地区です。ノッティングヒル地区の北側に位置しています。
W10地区の範囲は下記のとおりです。地区名としてはLadbroke Grove district: Ladbroke Grove、 Kensal Town、 Queen’s Park(一部)が入ります。
行政区としてはKensington and Chelsea、Westminster、Hammersmith and Fulham、Brentが含まれます。
W10地区にある公園や施設には下記のようなものがあります。ケンジントンメモリアルパークは、夏には水遊びのできる公園で、子連れで賑わうスポットです。
- Little Wormwood Scrubs
- Kensington Memorial Park
- Ladbroke Hall
ベッドルーム別の家賃データです。W8よりは西側にあることもあり、家賃としては安めですが、W3やW5よりは高いですね。
ベッドルーム・家の形態別データです。3ベッドルーム以上の物件はあまり出ていないことがわかります。
W11:Notting Hill地区の家賃
W11地域を見ていきます。このW11はノッティングヒル地区です。映画「ノッティングヒルの恋人(Notting Hill)」で有名な地区ですね。映画の撮影に使われた場所を巡って歩くのも楽しいエリアです。
W11地区の範囲は下記のとおりです。
地区名としてはNotting Hill、Ladbroke Grove(一部)、Holland Parkが入ります。
行政区としてはKensington and Chelsea、Westminster、Hammersmith and Fulhamが含まれます。
W11地区にある公園や施設には下記のようなものがあります。
- Royal Cresent
- Portobello Market
- The Notting Hill Bookshop
ベッドルーム別の家賃データです。3ベッドルーム以上は平均・中央値ともに10,000ポンドを超える家賃となっています。ちなみに3ベッドルームの最低額月3,350ポンドの部屋は1部屋4畳ないくらいの部屋の狭小住宅でした。それでも3,350ポンドなのですから地価の高さがうかがえます。
ベッドルーム・家の形態別データです。
1ベッドルームで1,300ポンドの物件があったので気になってみてみましたが、Flatという形態で貸し出されていましたが、実際は2ベッドルームのFlatをシェアして使う、ということのようでした。不動産屋によっては平然とFlatとして宣伝しておいて、実際に見てみるとシェアハウスという可能性もありますので、注意が必要ですね。
日本円見てみると、平均では2ベッドルーム以上は100万円を超えてくる物件が多いです。
W14:West Kensington地区の家賃
今回の調査では最後となるW14地区を見ていきます。ウェストケンジントン地区になります。縦長の地区になっており、北はSheperd’s Bush、南はNormand Park辺りまでとなっています。
W14地区の範囲は下記のとおりです。
地区名としてはWest Kensington、Kensington Olympia、Holland Parkが入り、行政区としてはHammersmith and Fulham、Kensington and Chelseaが含まれます。
W14地区にある公園や施設には下記のようなものがあります。
- Normand Park
- The Queen’s Club
ベッドルーム別の家賃データです。他の地区で高すぎる家賃を見てきたので少し落ち着いた気がするのは気のせいでしょうか。
ベッドルーム・家の形態別家賃です。ちなみにワンルームの最低額の家賃1,000ポンドの物件は、広さが11平方メートル(6.7畳)の狭小物件でした。
日本円で見た場合でも、少し落ち着いた感があります。ロンドン中心部から少し離れるとやはり家賃はぐっと下がると言えます。ですが、それでも日本の感覚から言ったら高すぎますね。
まとめ
以上、家賃調査のロンドン西部編②として、W2・W8・W10・W11・W14の5つの地域の家賃をそれぞれ調査しました。ここでまとめておきます。
- 下記のルールで家賃調査を実施
ー調査はRightmoveの掲載物件を対象とする
ーポストコードごとに調査する
ー家の形態・ベッドルームごとに確認する - W2:Paddington地区の家賃
3ベッドルームの平均家賃は8,528ポンド、中央値は7,410ポンド - W8:Kensington地区の家賃
3ベッドルームの平均家賃は14,014ポンド、中央値は13,975ポンド - W10:Ladbroke Grove地区の家賃
3ベッドルームの平均家賃は5,464ポンド、中央値は4,075ポンド - W11:Notting Hill地区の家賃
3ベッドルームの平均家賃は12,221ポンド、中央値は13,000ポンド - W14:West Kensington地区の家賃
3ベッドルームの平均家賃は6,328ポンド、中央値は5,499ポンド
何と言いますか、恐ろしくなるほどの家賃の高さですね。標準的な家庭を想定して3ベッドルームで比較していますが、ケンジントンやノッティングヒルでは家賃を月200万円以上払えないと平均以上の生活はできないということになり、どんなセレブ達が住んでいるのだろうと不思議に感じます。
一部のお金持ちが、ということではなく地区の平均や中央値ということに空恐ろしさを感じます。
ありがとうございました。