どうも、ロンドン駐在員のぷーたです。
今回の記事は、次のような疑問を解消するために書いています。
- イギリスで子どもと一緒に楽しめる鉄道旅にはどんなものがある?
- ロンドンで運転席からの景色を楽しめる車両はあるの?
- イギリスには寝台特急や新幹線はあるの?
- イギリスで鉄道好きな子ども連れていくのにオススメな場所はどこ?
イギリスで子どもと鉄道を楽しむ方法
イギリスに子どもを連れてきて感じるのが、電車好きな子どもが楽しむ場所が少ないところです。日本であればターミナル駅に行けばいろいろな電車を見ることができますが、そもそもイギリスはじめ海外ではそこまで電車の形状にこだわりがあるとは思えず、同じような電車が多く走っているように見えてしまいます。
例えばロンドン地下鉄(Underground)を例にとると、車両の差はありますがカラーリングはほぼ同じで、違いがあまり感じられません。一方で東京メトロの地下鉄であれば路線ごとにカラーリングが異なり、車両もきれいで電車を見るのも楽しいです。
そんな中、イギリスで子どもと楽しめる電車の情報をまとめてみました。
DLRやトラムで先頭車からの車窓を楽しむ
イギリスの電車は運転席が壁で仕切られていて、運転席からの景色を楽しめる電車がほとんどありません。日本であれば先頭車両に乗って窓越しに運転席からの景色を楽しむことができることが多いですが、イギリスで電車の先頭の景色を見ることができるケースは少ないです。
例えばロンドンでよく利用する地下鉄は、運転席の景色はおろか、運転席すら全く見ることができません。地下鉄でなくても、エリザベスラインやナショナルレールの車両でもやはり運転席はみえません。
そんなロンドンで電車好きキッズが楽しめる数少ないロンドンの前方が見える電車をご紹介します。
DLR
DLRは正式名称をDocklands Light Railwayという名称のライトレールです。4両編成または6両編成の電車です。2両ごとのユニットを連結していますので、子どもが大好きな連結部分もよく見ることが可能です。
DLRは日本のゆりかもめのように無人運転で動いており、先頭に運転席がありません。そのため、先頭車の先端まで座席があり、そこから電車の前方の景色を見ることができます。
DLRを利用する際には先頭の景色を見たい子ども達が集まってくる様子も見られます。さすがに子どもに譲ってくれる方は多くありませんが、真ん中部分に立って先頭の景色を見ているお子さんはよく見ます。
DLRの前面展望で圧巻なのは、カナリーワーフ付近の立体交差と駅へのアプローチ部分です。ストラトフォード方面とバンク方面のDLRが合流する部分ですので、すれ違いも起こりやすいですし、見ていて楽しいです。
DLRで先頭座席に乗るためのコツ
DLRで先頭車に乗る方法は、当然ながら始発駅から乗ることです。バンク駅からはストラトフォード、グリニッジ方面など複数の行き先があり、比較的本数も多いため先頭座席を確保しやすいです。
バンク駅のホームでの先頭車両の乗車位置はこちらになります。DLRのバンク駅に着いて乗車ホーム(始発駅のため乗車ホームは決まっています)についたら右側に歩いていき、下記の部分に陣取っていれば、ほぼ間違いなく先頭車両の一番前に座ることができます。バンク駅からはDLRは数分間隔で発車しますので、たとえ一回で一番前に座れなくても、少し待てば大丈夫です。なお、先頭座席はよくDLR職員がメンテナンスのために座ることがあり、もし職員が来た場合にはゆずらなければなりません。その点は理解しておく必要があります。
DLR乗車の注意点
DLRに乗車する際に注意しなければならないのが、無賃乗車です。DLRの各駅には自動改札はなく、オイスターカードやコンタクトレス決済カードをタッチする端末があるのみです。乗り降りするたびにこの端末にタッチしておく必要があります。
もしタッチしないままで車内検札が来てしまった場合、問答無用で高額の引き落としが行われてしまいます。金額自体はそこまで高くなかったとは思いますが、通常の料金よりは高くなってしまいますので、必ずタッチをするようにしましょう。
特に折り返しで乗車する際は、まあいいかな?と思ってしまいがちですが、DLRは割と車内検札が多いように感じますので、忘れずにタッチすることをオススメします。
トラム (路面電車)
ロンドントラム(路面電車)も前方の景色が見られる数少ない電車の1つです。
パリやフランクフルトなど他の都市では多くのトラムが走っているのをよく見ますが、ロンドンではトラムはクロイドンを中心にウィンブルドン、ニューアディントン、エルマーズエンド、ベックナム・ジャンクションを結ぶ計3路線しか走っておらず、しかも中心部ではなくロンドンの南端の方を走っているためあまり利用機会がない方も多いと思います。
正式にはトラムリンク(Tramlink)と呼ばれ、クロイドン・トラムリンク(Croydon Tramlink)とも呼ばれるそうです。
トラムも限定的ですが、前方景色を見ることができます。
ただし、運転士さんがいますので子供の背にもよりますが、DLRよりは見づらいかなという気がします。
トラム乗車の注意点
トラムに乗車する際も、DLR同様タッチ端末を利用して乗降記録をしなければなりません。これを忘れると、車内検札が来たときに通常よりも高額の運賃を請求されてしまいます。十分にお気をつけください。
高速鉄道の旅を楽しむ
高速鉄道に乗って旅行に行くのも1つの楽しみですが、駅を出発したり到着してくる列車を見るのも楽しいです。
イギリスには新幹線が走っているの?といえばイギリス国内向けはスピードは遅いけど走っているし、ユーロスターもある、となります。それぞれ挙げてみます。
- ロンドン北東方面
ーLNER(London North West Railways) 800系/801系 Azuma
ーLumo 803系 - ロンドン西方面
ーGWR(Great Western Railway) 800系/802系 - ロンドン北西方面
ーAvanti West Coast 805系 Evero - フランス方面
ーユーロスター
愛称があったりなかったりするのがいかにもイギリスっぽい感じがしますが、これらの新幹線はすべて日本の日立製作所の車両を使用していて、最高速度は時速200kmです。ちょっと最高速度が控えめなのはイギリスの線路事情もあるとは思いますが、電化されていない区間も走るためディーゼルエンジンでの走行も可能となっているためやむをえないのかもしれません。
それぞれの車両を少し紹介してみます。
LNER 800系/801系 Azuma
まずはLNER Azumaです。電気/ディーゼルのバイモードの運用が可能な800系と電気のみで走る801系が運用されています。流線型の形がより鋭角になっている右側が801系、少し丸っぽい左側が800系です。
といっても横から見ないとわかりませんね。こんな感じで800系と801系を見分けることがかのうです。前方の角度が違うのがわかると思います。
Azumaはロンドンキングスクロス駅から出発してヨーク、ニューカッスルなどを経てエディンバラ駅までを走行します。所要時間はおよそ4時間半程度です。Azumaを見学するには、ロンドンキングスクロス駅へ行くと、このように停車しているAzumaを見ることが出来ます。
Azumaは1時間に2~4本程度の頻度で出発していますので、出発したり到着したりするAzumaを見ることもできます。
Lumo 803系
2022年にLNER Azumaと同じルートを走行する、格安路線が登場しました。名前をLumoといい、1日5本しか走っておらず、Azumaほどの頻度はありませんが、運が良ければキングスクロス駅で見ることができるかもしれません。
なお、Lumoという名前はluminosity(明るさ:新鮮な思考と革新)とmotion(動き)をあわせた言葉ということです。LumoはピークタイムではAzumaとそこまでの価格差はありませんが、例えば早朝の時間帯などは大きな差が出ている場合もあります。例えば下の例では朝5:48発のキングスクロス→エディンバラの片道で53.9ポンド、次のAzumaは6:15発で199.6ポンドとなっていますので、4分の1近い値段となっています。
GWR 800系/802系
GWRでもAzuma同様に電気/ディーゼルのバイモードの運用が可能な800系と電気のみで走る802系が運用されています。
GWRの新幹線(愛称はありません)はロンドンパディントン駅からオックスフォード、バースやブリストル、コーンウォールのペンザンス駅など多方面を走行しています。
パディントン駅のホームはオープンになっておりGWRの新幹線を見ることが出来ます。
Avanti West Coast 805系 Evero
Avanti West Coastが運行する805系Everoは電気とディーゼルのバイモードで運行する車両です。ロンドンユーストン駅からリバプールやホーリーヘッド方面を走行しています。2024年から運用を開始した新しい車両で、電気のみで運行する807系の運用も2025年に予定されています。
ユーロスター
ロンドンセントパンクラス駅から出ているユーロスターは最高時速300kmというまさに新幹線といえる存在です。ロンドンからパリへのアクセスに便利な鉄道ですが、行き先を選べばベルギーやフランス南部へのアクセスも可能です。
ユーロスターを見るのにおすすめのスポットは、セントパンクラス駅の2階部分です。ここは無料で入れるスペースで、出発・到着するユーロスターを見ることができます。セントパンクラス駅はLNER Azumaの出発駅であるキングスクロス駅と隣り合っているため、歩いて移動することも可能なため、Azumaとユーロスターを続けて見学するコースもおすすめです。
ユーロスターは時期や出発時間を選べばパリまで片道39ユーロ〜と比較的安値での移動が可能で、財布にも優しい移動手段です。ただし、もちろん繁忙期にはかなりチケット代が高くなってしまいますので注意が必要です。
保存鉄道で汽車の旅を楽しむ
保存鉄道もイギリスで子供に人気のある鉄道の1つです。かつて炭鉱から石炭を運んでいたり、資材を運搬していた昔の鉄道路線を維持管理して、観光用の路線として提供しています。古い蒸気機関車や客車での旅は趣もあって楽しいです。また、保存鉄道で働いている方はその鉄道が好きで、保存のために有志で参加している方もおり、温かく迎えてくれますよ。
イギリスでおすすめする保存鉄道をいくつかご紹介します。
ブルーベル鉄道(Bluebell railway)
ブルーベル鉄道は、イングランドのウェスト・サセックスにある全長17.7 kmの歴史ある路線です。ブルーベル鉄道保存協会によって管理されており、現在は主にボランティアの方によって運営されています。ロンドンヴィクトリア駅から出発するサウスコーストレールウェイのイースト・グリンステッド駅とシェフィールドパーク駅の間を蒸気機関車が運行しています。
終着駅では蒸気機関車を先頭に繋ぎ変える作業を見ることも出来ます。鉄道好きならたまりません。
またシェフィールドパーク駅にはちょっとした博物館もあり、蒸気機関車の展示や、機関車の運転シミュレーターが置いてあり、楽しめます。
グロスタシャー・ウォリックシャー鉄道(GWSR)
続いてご紹介するのがグロスタシャー・ウォリックシャー鉄道(GWSR、Gloucestershire Warwickshire Railway)です。
この鉄道はコッツウォルズ地方にある保存鉄道で、チェルトナム競馬場駅とブロードウェイ駅の間の約23 kmを結んでいます。こちらもブルーベル鉄道と同じくボランティアの方によって運営されています。将来的にはブロードウェイ駅からGWRのハニーボーン駅までの9.7 kmを延長するという目標があるそうです。
この鉄道の特徴として、開いた窓から顔を出せば列車の先の景色を見ることができる点が挙げられます(お子さんは十分にお気をつけください)。駆け抜けていく、というほどスピードは出ていませんが、ゆっくり走っていく蒸気機関車の吐き出す煙を見ながら広大な草原を見渡すのは気分がいいものです。しかも線路前方まで見えるくらいに見通しがいいため、
今ではほとんど見られなくなったタブレット(通票)の受け渡しシーンを見ることも可能です。このタブレットを持っている列車のみが区間を通過できるという、昔ながらの信号機能のようなものです。
こちらも今では見られなくなった腕木式信号機です。ちなみにこの信号をレバーで操作体験できる場所がブロードウェイ駅にあります。
レイクサイド・アンド・ヘイバースウェイト鉄道(The Lakeside & Haverthwaite Railway)
湖水地方にあるレイクサイド・アンド・ハバースウェイト鉄道は、ウィンダミア湖南端にあるレイクサイド駅とヘイバースウェイト駅を結ぶ全長5.1kmと短めの路線です。
レイクサイド駅には湖水地方有数の観光地であるボウネス・オン・ウィンダミアからフェリーで訪れることもでき、フェリー+鉄道の割引きっぷも発売されています。
この路線の見どころは何と言っても湖水地方ならではの湿地帯です。
のんびりと走っていく列車の車窓から、水辺の景色を眺めていると距離が短いこともあり、あっという間に終着駅に到着してしまいます。
エッピング・オンガー鉄道(Epping ongar railway)
ロンドンからのアクセスで言えば最もいい保存鉄道がこのエッピング・オンガー鉄道でしょう。何とロンドン地下鉄(Underground)でのアクセスが可能です。
セントラルラインの西端の終着駅であるエッピング駅からオンガー駅までの10.5kmを結んでいます。
今回4路線の保存鉄道をご紹介しましたが、イギリスには非常に多くの保存鉄道がありますので、イギリス国内旅行をする際には、旅行先を選択する要素の1つとして保存鉄道を考えてみるのもいいかもしれません。
日本でも少なくなった寝台特急の旅を楽しむ
日本では四季島やななつ星in九州のような豪華列車以外ではサンライズ出雲・瀬戸くらいしかなくなってしまいましたが、寝台特急も昔から子供に人気の鉄道です。
カレドニアン・スリーパー
イギリスではカレドニアンスリーパーという寝台特急がロンドンユーストン駅からスコットランド方面を結んでいます。
大きく分けて2つのカテゴリー、3つの方に分かれています。
- ハイランドスリーパー
・ロンドンユーストン-フォートウィリアム、アバディーン、インヴァネス間 - ローランドスリーパー
・ロンドンユーストン-グラスゴーセントラル間
・ロンドンユーストン-エディンバラウェイヴァリー間
ハイランドスリーパーの方は、編成自体は1編成16両で運行しており、ロンドンユーストン発の場合、途中駅のエディンバラウェイヴァリー駅で3方向(フォートウィリアム行き2両、アバディーン行き6両、インヴァネス行き8間)への切り離しをおこない、ロンドンユーストン行きの場合は逆にエディンバラウェイヴァリー駅で連結をおこないます。
カレドニアン・スリーパーは高速で走行(通常時の最高時速130km)するため、ロンドンユーストンからグラスゴーセントラルやエディンバラウェイヴァリー駅までは7時間35分で到着してしまいます。寝台特急の旅を楽しむには少し短い気もしますので、できればハイランドスリーパーでフォートウィリアム(所要時間12時間10~45分)やインヴァネス(所要時間11時間15~30分)方面へ行く方が長く乗っていられて楽しめるかもしれません。
寝台車には個室もありますし、開放式寝台もあれば座席だけの車両もあります。費用を抑えたいのであれば座席を利用するというのもありですが、家族連れであればセキュリティも安心な一度個室での旅をしてみるのもいいかもしれませんね。
ナイトリビエラ・スリーパー
カレドニアン・スリーパーが北方面に向かう寝台特急であるのに対し、ナイトリビエラ・スリーパーは西方面に向かう寝台特急です。
運行しているのは新幹線の項目でも説明したGWRで、ロンドンパディントン駅からコーンウォール地方のペンザンス駅を結んでいます。新幹線であれば5時間程度のところを寝台特急は8時間程度で走行します。
行きはナイトリビエラ・スリーパーを利用し、帰りは新幹線で帰って来るというのもありかもしれません。
おまけ:Bekonscot Model Railway
本物の鉄道ではありませんが、鉄道好きなお子さんに超オススメな鉄道模型の町がロンドン近郊にありますのでご紹介します。
場所はロンドンから西に30kmほどいったところにあるビーコンズフィールドという町にあるベコンスコットモデルレールウェイ(Bekonscot Model Railway)です。
鉄道模型の展示自体は、ヨークの鉄道博物館をはじめ各所で見ることができますが、ここまでの規模のミニチュアのまちと鉄道模型はなかなか見られません。
1930年代にタイムスリップした設定で7つの町をミニチュアで表現していて、その各町がレールで結ばれており、鉄道模型の汽車が走っています。しかも遠くから眺めるのではなく、町の中に自分が入り込んで様々な建物や鉄道を見ることが出来ます。
イギリスなので適当な作りなんだろうとあまり期待していなかったのですが、イギリスの特徴とも言える教会や城、町並みやスポーツをおこなっているシーンなど、まさに町が生きているようなしっかりとした造形となっており、それに汽車をはじめとする交通機関が華を添えています。
例えばこちらの採石場は実際に石がベルトコンベアで運ばれている様子が見られます。
汽車もひっきりなしに行き交うため、飽きることがありません。
複々線のホームなども見どころです。複数の汽車が停車するシーンなどは圧巻ですね。
このベコンスコットモデルレールウェイへのアクセスですが、メリルボーン駅から出ているチルターン鉄道(Chiltern Railway)のオックスフォード方面の電車に乗れば30分ほどでビーコンズフィールド駅まで行けば、徒歩7分のところにありますので、アクセスはそこまで悪くはありません。
まとめ
以上、イギリスで子どもとできる鉄道旅について説明しました。今回の記事のまとめです。
- イギリスでは日本ほどのサービス精神がないため前面展望できる電車が少なかったり、子どもが楽しめる鉄道は少ない
- そんな中ぷーたがオススメする子どもと楽しめる鉄道は下記の通り
- DLRやトラムで先頭車からの車窓を楽しむ
- 高速鉄道の旅を楽しむ
ーLNER Azuma
ーLumo
ーGWR
ーAvanti West Coast Evero
ーユーロスター - 保存鉄道で汽車の旅を楽しむ
ーブルーベル鉄道(Bluebell railway)
ーグロスタシャー・ウォリックシャー鉄道(GWSR)
ーレイクサイド・アンド・ヘイバースウェイト鉄道(The Lakeside & Haverthwaite Railway)
ーエッピング・オンガー鉄道(Epping ongar railway) - 寝台特急の旅を楽しむ
ーカレドニアン・スリーパー
ーナイトリビエラ・スリーパー - ベコンスコットモデルレールウェイ(Bekonscot Model Railway)はよく出来た鉄道模型の町で子ども連れにオススメ
ありがとうございました。