どうも、ロンドン駐在員のぷーたです。
今回の記事は、次のような疑問を解消するために書いています。
- イギリスではタダでインフルエンザの予防接種が受けられると聞いたけど条件はあるの?
- イギリスではどこでインフルエンザの予防接種ができるの?
- インフルエンザワクチン接種が簡単なのはどこ?
この記事ではイギリスのインフルエンザ予防接種について説明していますが、あくまでも一般的な予防接種に関する情報を記載しているのみで、予防接種の推奨をしているわけではありませんのでご注意ください。予防接種の要否はGPなど医療機関と相談の上実施するようにしてください。
イギリスのインフルエンザ予防接種
イギリスでは病気にかかりやすい(個人の体感です)
イギリスで生活していると、冬をいかに耐え忍ぶかという点が非常に重要です。こちらの記事でも説明していますが、「イギリスのあるある話」で私が筆頭に説明したいのは冬が長く・暗く・寒く・湿っているという点です。
とにかく暗く長い冬というのがポイントで、日が出ている昼の時間が最も短い時期で8時間弱、かつよく雨が降るため、カラダ作りをサポートするビタミンDの形成に必要な1日30分の日光浴すらできないことが多く、日本にいるときよりも体調を崩しがちです。
これはもちろん私の体感であり、日本にいるときにも特に子どもが幼稚園で病気をもらってきてそれが家族にうつってしまうということがありましたが、イギリスにいるとその傾向がさらに強い気がしています。
そのため季節性インフルエンザ(Seasonal influenza、略してFlu)に対する予防も必要であり、我が家では家族全員が毎年インフルエンザの予防接種を受けています。
イギリスのインフルエンザ患者推移
まずはイギリスのインフルエンザ患者の推移を見てみましょう。こちらはUK Health Security Agency(UKHSA、英国保健安全保障庁)のSurveillance of influenza and other seasonal respiratory viruses in the UK, winter 2023 to 2024からの引用ですが、週ごとの人口10万人あたりのインフルエンザ患者数です。
週ごとの推移となっていますが、概ね49週(12月上旬)~11週(3月上旬)にかけて患者数が増えていることがわかります。
参考まで日本の厚生労働省が発表している「インフルエンザの発生状況」を元に日本のインフルエンザ患者数をグラフ化してみました。年度によって山の部分が違っているのが気になりますが、概ね47週(11月中旬)~11週(3月上旬)に患者数が多く、傾向としてはイギリスと大きくは変わりません。
ちなみに報告件数については、
- イギリス:人口10万人あたりの報告数
- 日本:全国5,000か所の定点医療機関における報告数
となり、基準が違いますのでご注意ください。日本の場合、医療機関自体は約18万施設ある(2018年10月1日現在、厚生労働省医療施設調査より)のですが、定点医療機関はある程度大規模な医療機関であることが想定されますので、18万の医療機関の平均でこれだけの患者数が報告されているわけではありません。
インフルエンザ予防接種の効力は、接種から2週間程度経過してから有効になるようですので、予防接種を受けるのであればピークを迎える12~1月に入る前には受けておきたいところです。
イギリスでは条件を満たせばインフルエンザ予防接種が無料
高齢者や特定疾患者、その介護者等は無料
日本では、自治体によりますが基本的には高齢者であっても住民税非課税世帯など所得の条件を満たさなければインフルエンザ予防接種は無料になりません(一般の成人料金から減額措置はあり)。これはインフルエンザ予防接種は病気に対する治療ではないため、健康保険が適用されないことによるものです。
ですがイギリスでは、条件を満たせばインフルエンザ予防接種は無料で受けられます(NHS Webサイトより)。
- 65歳以上(その冬の3月31日までに65歳になる人を含む)
- 特定の長期的健康状態がある(*)
- 妊娠中
- ケアホームに居住している
- 高齢者や障害者の主介護者である、または介護者手当を受給している
- 免疫システムが弱っている人と一緒に暮らしている
(*)特定の長期的健康状態は以下のとおり
- 喘息(ステロイド吸入器または錠剤が必要)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症など呼吸に影響を与える病気
- 冠状動脈疾患や心不全などの心臓疾患
- 慢性腎臓病
- 肝硬変や肝炎などの肝臓疾患
- パーキンソン病、運動ニューロン疾患、多発性硬化症、脳性麻痺など、脳や神経に影響を与える病気
- 糖尿病またはアジソン病
- HIVやエイズなどの病気、または化学療法やステロイド薬などの治療により免疫力が弱まっている
- 鎌状赤血球症などの脾臓の問題がある場合、または脾臓を摘出した場合
- 学習障害
- 非常に太りすぎている – 体格指数(BMI)が40以上
上記に該当する方は、インフルエンザ予防接種を実施しているGPや薬局に連絡して資格があることを証明すれば、通常有料のところが無料になります。
子どもは無料
子どものインフルエンザ予防接種も無料です。日本では有料になってしまいますが、イギリスでは2歳~16歳(Year11)の子どもは無料でインフルエンザ予防接種が可能です(※)。
※特定の疾患がある子どもの場合6ヶ月~17歳まで無料で接種可能
Reception就学前の子ども
Reception就学前の子どもの場合、インフルエンザ予防接種はGPでおこなうことになります。GPからメールで連絡が来ますので、予約を取って接種を受けることになります。
Reception~Year11の子ども
4歳のReception~16歳のYear11までは、基本的に学校からワクチン接種の案内があります。もちろん受けさせないことも可能であり、親権者がWeb上で承認の登録をしない限りワクチン接種が勝手にされることはありません。
こちらは私の住むイーリング地区で送付されたレターです。ワクチン接種は鼻スプレー(Nasal Spray)で行われますので、痛みもなく子どもにとってはいいですね。鼻スプレーではなく注射での接種も可能です。
Web上の承認はこのようなサイトでおこないます。質問には既往症やアレルギー、実施した予防接種等の細かい情報が必要ですので、Google翻訳などで日本語に翻訳して回答することを推奨します。
ちなみに学校での子どもの予防接種が完了すると、Reference codeつきの下記のメールが送られてきます。このあたりはさすがイギリスという感じがしますね。
条件を満たさない場合は有料での予防接種
高齢者や特定疾患、子どもといった条件を満たさない場合はインフルエンザ予防接種は有料となります。
私も最初は物価が高く、かつNHSではない医療費の高いイギリスですので、インフルエンザ予防接種がどれだけの金額になるのだろう?と恐れていましたが、実はそれほど高くはありません。
- 日本でのインフルエンザ予防接種費用:3,500円程度
- イギリスでのインフルエンザ予防接種費用:10~20ポンド程度(約2~4千円)
よく選べば日本より安く接種することもできるかもしれません。
イギリスでインフルエンザ予防接種を受ける方法
ここではイギリスでインフルエンザ予防接種を受ける場合に便利な場所を4つご紹介します。基本的にはスーパーの薬局やBootsなどの薬局チェーンで予防接種を受けるのが予約や予約変更も簡単ですし、当日の接種もスムーズです。
2024年のインフルエンザ予防接種が安い順に紹介していきます。
Superdrug(無料メンバー価格9.95ポンド)
まずはイギリスの格安ドラッグチェーンであるSuperdrugです。こちらのインフルエンザ予防接種は
Superdrugのインフルエンザ予防接種費用:
通常価格は19.95ポンドだが、Health & Beautycardメンバーであれば9.95ポンド
という驚きの価格となっています。ちなみにHealth & BeautycardメンバーはWebサイトから無料で申し込めますので、特に負担なく9.95ポンドで接種が可能です。
予約も簡単で、SuperdrugのWebサイトから予約を開始し、店舗を選択します。
そして予約の日時を決めればOKです(2024年11月8日現在の予約状況)。
Superdrugは安い分予約が若干取りにくいようで、思い立ってすぐに受けることはできず一週間くらい後の予約を取る必要があります。ですが、9.95ポンドという価格は魅力的ですね。
ASDA Pharmacy(13ポンド)
続いて我が家の大好きなスーパーチェーンASDAの薬局サービスであるASDA Pharmacyです。
ASDA Pharmacyのインフルエンザ予防接種費用:13ポンド
Superdrugのメンバー価格よりは上がりますが、それでも安い価格帯にあると言えます。あとはスーパーの買い物のついでに予防接種が受けられるという点はポイントが高いと思います。
こちらも予約は簡単で、Pharmacyを併設しているASDA店舗を検索して、
日時を選択することで予約が可能です。先ほどのSuperdrugに比べると、近い日程の予約が取れる事がわかると思います。
Tesco Pharmacy(16ポンド)
スーパーチェーンのTescoに併設の薬局のTesco Pharmacyです。
Tesco Pharmacyのインフルエンザ予防接種費用:16ポンド
インフルエンザ予防接種の費用としてはそこそこと言えますね。こちらもTescoでの買い物をするついでに予防接種を受けられるので便利だと思います。
予約システムはASDA Pharmacyとほぼ同じです。店舗を選択して、
日時を指定します。SuperdrugやASDAよりもさらに予約が空いている印象です。
Boots(21.95ポンド)
最後にご紹介するのが、イギリス最大のドラッグストアチェーンBootsです。Bootsのポイントカードは、ポイ活大好きな我が家でもよくお世話になっています。
Bootsのインフルエンザ予防接種費用:21.95ポンド
インフルエンザ予防接種の費用としては高い気がします。ですが、イギリスでは薬局と言えばBootsでありBootsの信頼度の高さは格別ですので、利用する方も多いのかもしれません。
予約自体はBootsでも簡単で、まずは最寄りのBoots店舗を選んで、
日時を選びます。値段の割に思ったよりも埋まっているのは以外ですが、これもBootsの信頼性から来るものなのかもしれません。
上記以外でインフルエンザワクチン接種できる場所
もちろん上記の4つのチェーン店以外でも、多くの場所でインフルエンザ予防接種が可能です。どこでワクチン接種が可能かはNHSのWebサイトで検索するのが一番です。
こちらは無料のワクチン接種の検索サービスになるのですが、有料の接種を探すことも可能です。下記の画面でポストコードを入力してSearchを押します。
すると検索結果が表示されます。ここでVisit websiteと記載のある薬局についてはWebサイトを確認できますので、有料のワクチン接種がおこなわれているか確認することができます。
まとめ
イギリスでのインフルエンザワクチン接種について解説しました。まとめておきます。
- イギリスでは病気にかかりやすい(個人の体感です)
特に冬場は日照時間が極端に短いためビタミンDが不足し病気になりやすい - イギリスでは条件を満たせばインフルエンザ予防接種が無料
ー高齢者や特定疾患、その介護者等は無料
ー子ども(2歳~16歳)は無料
ー条件を満たさない場合は有料での予防接種 - イギリスでインフルエンザ予防接種を受ける方法(2024年の有料接種価格)
ーSuperdrug(9.95ポンド:無料でなれるメンバー価格)
ーASDA Pharmacy(13ポンド)
ーTesco Pharmacy(16ポンド)
ーBoots(21.95ポンド)
ー上記以外でインフルエンザワクチン接種できる場所はNHS Webサイトで検索可能
ありがとうございました。