イギリスについて

テニスのウィンブルドン選手権の当日券ガイド~確実に入場するなら始発前到着でThe Queueに並んでみよう~

どうも、ロンドン駐在員のぷーたです。
今回の記事は、次のような疑問を解消するために書いています。

  • テニスのウィンブルドンはチケットが取りづらいと聞いたけど本当?
  • ウィンブルドン選手権のチケットを確実に入手する方法は?
  • ウィンブルドンの当日券の行列、The Queue(キュー)について教えて!

ウィンブルドン選手権について

イギリスとつかなくても全英オープン

ウィンブルドン選手権(全英オープンテニス、The Championships, Wimbledon)はテニスの世界四大大会(グランドスラム、全英・全仏・全米・全豪)の一つでありながら、他の大会とは一線を画す格式と伝統を誇る大会となっています。

イギリスではよくある話ですが、スポーツイベントや組織の名前に国名がついていないものが見られます。

The Openは全英オープンゴルフ、The Derbyは競馬の英ダービー(エプソムダービー)、The Football Association(FA)はイングランドサッカー協会など、イギリスと名前をつけなくても当然イギリスでしょ、と言わんばかりの名前の付け方にイギリス発祥であることへのこだわりを感じさせます。

ウィンブルドン選手権も例外なく、The Championshipsといえば全英オープンテニスのことを表します。ウィンブルドン選手権は単なるスポーツイベントにとどまらず、イギリスの文化と誇りが凝縮された存在となっています。

世界最古のテニストーナメント

ウィンブルドン選手権は、1877年にイギリス・ロンドン南西部のウィンブルドン地区で始まりました。これが世界初のテニストーナメントであり、以来150年近くの歴史を誇っています。

当初は男子シングルスのみの開催でしたが、その後女子部門やダブルスも加わり、現在では男女シングルス・ダブルス、混合ダブルス、ジュニア、車いすテニスなど多彩なカテゴリーが存在します。

芝生コートが醸し出すクラシックな雰囲気

ウィンブルドンの最大の特徴の一つは、芝(グラス)コートで行われることです。四大大会のうち、芝コートで開催されるのはこのウィンブルドンだけで、コートの滑りやすさやバウンドの低さが、独特の試合展開を生み出します。芝は手入れが非常に難しく、試合ごとにコートの状態が微妙に変化します。この不安定さが選手の技術力を試し、試合をよりドラマチックにするのです。

実際に試合日程が進んでいくと、上記の写真のようにベースライン(コートの長方形の短い直線部分)付近は芝生が剥げてしまっています。テニスはプレイヤーが激しく動きますので、場所によって足元の状況が異なるのはプレーにも大いに影響するでしょう。

「白」のドレスコードに込められた伝統

ウィンブルドン選手権には、厳格な服装規定があります。選手は「ほぼ白」のウェアを着用しなければなりません。このルールは1800年代のビクトリア時代の慣習に由来します。当時は汗染みを隠すために白い服が推奨されていたとされ、今日までその伝統が守られているのです。他の大会では見られないこの規定が、ウィンブルドンの格式を象徴しています。

ここでちょっとウィンブルドンの服装に関する公式規定を見てみましょう。驚くほどの白へのこだわりが感じられます。

  1. コートに入る瞬間から白でなければならない:試合中だけでなく、練習やウォーミングアップ中も含め、コートに入った瞬間から服装が白でなければなならない。ジャージやトレーナーなども対象
  2. “白”とはオフホワイトやクリーム色を含まない:純白に近い「明確な白」が求められる
  3. 色付きは“1cm以内のトリム”のみ許容:ネックラインや袖口に1cm以下の細いラインであれば色付き可。大きなロゴやパターン、素材の違いで浮かび上がるデザインもNG
  4. パンツ・スカート・ジャージ下も白一色が基本:外側の縫い目に1cm以内の色のラインがあることは許容される
  5. 帽子・リストバンド・ソックスも白限定 こちらも例外なく、1cm以内の色付きラインだけが許容される
  6. シューズも「ほぼ白」:ロゴは控えめに、ソールや靴ひもは完全な白が必須。 メーカーのロゴはできるだけ目立たないように。
  7. 下着やインナーにも厳格なルール:汗などで透ける可能性のあるインナーも、基本白一色。 女性選手のみ、濃い色のインナーパンツ(アンダーショーツ)を着用可だが、スカートやパンツより長くならないことが条件
  8. サポーター類は可能な限り白に:医療用のサポーターやテーピングも、できる限り白で統一するよう求められる

ちなみにこれらの「ほぼ白」のルールを破った場合、着替えるように命令されます。有名な話では、2013年にロジャー・フェデラーが1回戦に履いていたシューズのソールがオレンジ色だったため、違反とされました。注意を受けて2回戦では別の白いシューズに履き替えましたが、その試合で敗れ2回戦敗退となりました。シューズだけが原因ではないかもしれませんが、ウィンブルドンの「ほぼ白」のルールへのこだわりを感じさせるシーンでした。

ウィンブルドンの場所と開催時期、入場料

ウィンブルドン選手権はロンドンの南西、ウィンブルドン地区に位置する「オールイングランド・ローンテニス・アンド・クロッケー・クラブ(AELTC, All England Lawn Tennis and Croquet Club)」で開催されます。

ちなみにクロッケー(Croquet)はイギリス発祥の競技で、アソシエーション・クロッケーとゴルフ・クロッケーと二種類のゲームがあって、アソシエーション・クロッケーは日本におけるゲートボールの原型ということです。

ウィンブルドン選手権は毎年6月下旬~7月上旬に始まり、2周間続きます。2025年は6月30日から7月13日までの予定で、ロンドンの夏を彩るイベントのひとつとして広く市民に親しまれています。

ウィンブルドンの入場料は入れるコートおよび日程によって異なります。

こちらは、2025年のチケット料金表です(クリックで拡大可能)。センターコートに入れるチケットは日程が進むに従って高くなっていきますが、No.1~No.3コートに入れるチケットおよびグラウンドパス(会場への入場のみOKなチケット、No.4以下のコートは観戦可能)は日程の終わりの方になると価格が下がっていくのが特徴的です。

ウィンブルドン選手権の観戦チケット入手方法

他のテニス大会とは一線を画す、伝統あるウィンブルドン選手権ですがロンドン在住であっても現地で観戦するのはハードルが高いです。

観戦チケット入手方法としては下記の方法が考えられます。

  • 一般抽選(AELTC Public Ballot)に参加して当選する
  • LTA抽選(LTA Officials Ballot)に参加して当選する
  • 当日券販売列に並んで(The Queue)チケットを購入する
  • リターンチケットを購入する
  • テニスクラブの割当チケットを購入する
  • 社債(Debenture)または転売チケット(Debenture Tickets)を購入する

それぞれについて解説していきます。

一般抽選(AELTC Public Ballot)に参加して当選する


ウィンブルドン選手権のチケット購入のもっともポピュラーな方法は、選手権を開催するAELTCの一般抽選に申し込むことです。毎年9月頃にオンラインでの抽選申込が可能です。2025年のチケットは、2024年9月2日~16日が申し込み期間となっていました。

この抽選申込は海外からでも可能で、かつては海外からの抽選申込は別の窓口になっていましたが、現在では一般抽選としてイギリス国内と同じ枠で実施されています。

一般抽選は16歳以上であれば誰でも参加することが可能ですが、下記の注意事項があります。

  • 1つの世帯(住所)からは1度しか抽選申し込みできない。そのため、夫婦で別のメールアドレスで申し込んだとしても、住所が同じだと申し込みが無効になる
  • 抽選申込可能なチケット枚数は1枚または2枚のみ
  • 日付や希望するコートの選択は一切できないため、割り当てられた日付・コートしか購入するしかない(購入しないことは可能)

当選確率は公開されていませんが、10%程度と言われています。サッカーのプレミア・リーグのアーセナルのRed ballotというチケット抽選の当選確率と同じ程度ですが、1年に1回しか申し込めないため、当たったという話はそれほど多く聞きません。

当選者には10月以降にメールが送付され、購入するかしないかを決めることになります。一般抽選の対象チケットは、センターコートまたはNo.1~3コートのチケットとなるため、入手難度を考えれば会社や学校を休んでも行く価値はあると思います。

LTA抽選(LTA Officials Ballot)に参加して当選する


ウィンブルドン選手権のチケットの入手方法として、もう一つ抽選に参加する方法があります。それがLTA Officials Ballotです。LTAとは、イギリスのテニス競技を統括する団体である、Lawn Tennis Association(ローン・テニス協会)の略称です。LTAはテニスの普及、育成、大会の運営、審判員の育成など、テニスに関わる様々な活動を行っています。

このLTAでもウィンブルドン選手権の抽選に参加することが可能ですが、LTAの場合は抽選に参加するのに条件があります。その条件とは下記のとおりです。

13歳以上のFan+、Play+、Compete Advantageメンバーであること

簡単に言えば、LTA有料会員のみが抽選に参加可能です。

テニスをそれほどプレーしないのであれば、FAN+というテニスファン向けのメンバーシップが最もコスパがいいことになりますが、年間25ポンドの会費が必要となります。

このLTA抽選は、AELTCの一般抽選と重複申込みが可能ですので、ウィンブルドンのチケットの当選確率を少しでも上げたいのであれば25ポンドを支払ってLTA会員となって抽選に申し込むのもありかも知れません。

なお状況にもよりますが、LTA抽選で当選した場合はAELTC一般抽選と異なり、ある程度日程やコートの指定が可能な場合があるということです。

当日券販売列に並んで(The Queue)チケットを購入する

抽選にはずれてしまい、残念ながらチケットを購入できなかった場合でも諦めることはありません。ウィンブルドンでは当日券も販売されており、早い時間に並ぶことができればほぼ確実にチケットを購入することが可能です。

この当日券購入のための行列をThe Queueと言い、ウィンブルドンの風物詩となっています。ただし、当日券ということもあり相当な長時間並ぶことを覚悟しなければならず、朝から並ぶ場合でも5~6時間並ぶことは普通にあります。

運が良ければ当日の昼に行ってあっさりとチケットを購入できる場合もありますが、こうしたチケット情報に関しての情報があまり出回っておらず、せっかくウィンブルドンを訪れても当日券は売り切れていたというケースもありますので、確実にチケットを購入したいのであれば早くから長時間並ぶことをおすすめします。

このThe Queueの詳しい情報については後述します。

リターンチケットを購入する

ウィンブルドンでは、リターンチケットと呼ばれる、チケット購入者が他の予定でウィンブルドンに行けなくなってしまった場合のチケット販売窓口があります。このリターンチケットの販売は、Ticketmasterにておこなわれています。

ですが、このリターンチケットはそれほど数がないこともあり、販売されてもすぐに売り切れてしまいます。そのためウィンブルドン選手権開催中には、何度も何度もサイトをチェックして、購入を狙っていく必要があります。

下記のようにチケット在庫ゼロの画面が表示されてしまうのが通常となっています。

テニスクラブの割当チケットを購入する


知人から聞いた話ですが、LTAに加入している各地のテニスクラブには、ウィンブルドンのチケットの割当があるそうです。そのため、日付やコートまでが選べるとは限りませんが、テニスクラブに所属していれば割り当てられたチケットの購入をすることも可能です。

ウィンブルドンに行くためだけにテニスクラブに通うのは少しハードルが高いですが、テニスクラブに通っている知人にチケットを購入してもらうことは可能なようです。そのため、家族や知人にテニスをやっている方がいれば、ウィンブルドンへ行く可能性が高まるかも知れません。

社債(Debenture)または公式転売チケット(Debenture Tickets)を購入する

ウィンブルドンに確実に行く方法として、社債(Debenture)の購入と公式転売チケット(Debenture Tickets)の購入があります。

社債(Debenture)

まずは社債について説明します。ウィンブルドンでは、選手権期間中の観戦や、メンバー専用のレストランやラウンジ、限定エリアへのアクセスが可能な社債を販売しています。指定される座席もロイヤルボックス(英国および海外の王室のほか、政府首脳などの招待客の観覧席)と同じ階層、つまりは試合の見やすいグレードの高い座席となります。

社債という名の通りかなり規模の大きなもので、有効期間は5年間となっています。つまり、開催期間の2週間毎日入場可能なチケットが5年分もらえる、ということになります。

「相当お高いんでしょ!?」と思われた貴方、大正解です!2026~2030年の5年間有効なセンターコートの社債は11万6千ポンド(約2,320万円)となっています。

毎年14日分、5年間で70日分のチケットということになりますので1日当たり33万円程度ということになります。いくらなんでも高すぎますよね。

公式転売チケット(Debenture Tickets)

実はウィンブルドンの社債を購入している方というのは、公式に認められているチケットの転売で儲けようとしている方が多いようです。そのため、ウィンブルドンでは公式転売チケット(Debenture Tickets)と呼ばれる転売チケットのマーケットが成立しています。

2025年の状況を見てみましょう。例えばこちらのGREEN&PURPLEのサイトを見てみます。

セミファイナルのおこなわれるセンターコートのチケット販売価格は1枚4,000ポンド(約80万円)となっています。

また、男子決勝のセンターコートの価格は1枚19,995ポンド~21,250ポンド、日本円にして400万円程度となっています。チケット1枚が日本の平均年収(約460万円、2023年)より少し安い程度というのは驚きです。公式転売チケットは、普通の人では購入できるレベルの価格ではありませんが、得られるメリットも非常に大きいため人気が高いと言われています。通常では体験できないウィンブルドンの観戦体験をするには最高のパッケージであると言えるでしょう。

なお、イギリスのスポーツシーンでよく見かけるホスピタリティパッケージ(食事やお酒のサービスがついたプレミア席での観戦)とは異なり、社債や公式転売チケットには食事はついておらず、あくまでもプレミアムなレストランで食事ができるという権利だけのようです。

確実に当日券を入手するためのThe Queue攻略法

ここからは、ウィンブルドンのチケット入手方法の中で最も難易度が低いと思われるThe Queue、当日券の行列の攻略法について解説します。

まずは前提知識として、下記の基本ルールを抑えておく必要があります。

  • 徹夜で行列に並ぶことが可能。徹夜組はテントを用意して宿泊しながら並ぶことができる
  • The Queueのあるテントなど大型荷物を預けられるLeft Luggageを完備
  • Queueカードと呼ばれる番号付きの整理券が配布され、番号順に当日券の販売がおこなわれるため、割り込みはできない
  • 並ぶ時間は数時間~十数時間程度(全日夜から並ぶか当日朝から並ぶかによる)
  • 当日券販売は、センターコート、No.1コート、No.2コートそれぞれ500枚、その他にグラウンドパスが数千枚販売される(クレジットカード決済のみ)

それでは、実際にThe Queueに並んでみた際の写真とともに、当日の動きを解説していきます。

The Queueのマップと施設紹介

こちらはウィンブルドンの公式サイトで公開されている、ウィンブルドンパークにおけるキュー(行列)の流れを示したマップです。こちらのマップを元に、The Queueについて解説します。

The Queueの大半の時間を過ごす広場を拡大してみました。

まずはそれぞれの施設についてご紹介します。

①Left Luggage(荷物預かり所)


ウィンブルドンの当日券、特にセンターコートやNo.1コートなどのいい席をを入手するためには徹夜で並ぶことが必須となります。徹夜と言ってもテントに泊まりながら列に並ぶことが可能ですので、そこまで苦痛ではないかも知れません。

ウィンブルドンの会場には大型荷物(40cm×30cm×30cmを超える荷物)を持って入場することができませんので、Left Luggage(荷物預かり所)に預ける必要があります。テントなど宿泊用具は1つ5ポンド、それ以外は1つ1ポンドでの預かりが可能です。思ったより安いのは、The Queueというウィンブルドン伝統のイベントに参加しやすいように、という関係者の配慮があるのかも知れません。

②自転車置き場



後述しますが、ウィンブルドンの当日券を求めて早朝から並ぶ場合、始発電車が動き出す前に並んでおくことが推奨されます。そのための会場アクセス用として考えられるのが自転車の利用です。私が見た限りでは自分の自転車で来場している方はほとんどなく、シェア自転車(Lime)が大量に置いてあり、こちらが多く利用されているようでした。

③お土産屋

ウィンブルドンのお土産屋は本会場に入れば至る所にありますので、入場してからでもお土産の購入は可能ですが、長い待ち時間中にお土産をひと目見ておくのもいいでしょう。

見ての通りそこまで大きなお店ではありませんので、展示されている種類は限られていますが、どのようなものがいくら位で売っているのかを知るにはいいかも知れません。

ウィンブルドンの試合で選手が使用している大型のタオルと同じものが売っていて(下記参照)、購入しておくと待ち時間の寒さ対策や寝転がる際の枕としてなどに使えます。

④フードコーナー

The Queueには、フードコーナーも完備しています。販売しているのはチュロスやハンバーガー、ホットドッグやワッフル、ホットコーヒーなど、夏とは言え朝晩は冷え込む(日によっては10度ほどになることもあります)The Queueで嬉しいホットフードが多く販売されています。
イギリス全般で言えることですが、お値段は決して安くはありません。それほど大きくないワッフルやホットドッグでも10ポンド程度はします。
ホットフードにこだわらないのであれば、最寄り駅のサウスフィールズ駅近くのコンビニエンスストアを利用するのもありだと思います。ウィンブルドンパークの入口から徒歩8分程度のところにSainsbury’s localがありますし、それ以外の店舗も営業しているため食料の調達は可能です。

⑤飲料水コーナー

The Queueでは飲み水についても心配することはありません。下の写真の右側、列の先頭の横に飲料水コーナーも設けられています。そのため空の水筒などを持ってくれば飲水について不安に感じることはありません。

⑥トイレ

行列に並ぶ時間は数時間~十数時間になりますので、トイレは必須です。The Queueでは数多くの仮設トイレが設置されています。こちらはウィンブルドンパークの南東側にあるメイントイレの行列です。仮設トイレに限らないのですが、イギリスでは「なんでこんな行列を作るの?」と思えるような行列が作られることがあります。

行列は先の方で①一番手前の個別の仮設トイレ②真ん中の女子トイレ③一番先にある男子トイレの3つに分かれているのですが、①のトイレに並ぶ行列が他の列をブロックしてしまい、②女子トイレ③男子トイレはそれほど混んでいなかったりします。
こちらが女子トイレの行列です。この写真の奥側(つまり行列の最後尾側)はずっと行列しているのですが、中の方に入るとそれほど人が並んでいません。

男子トイレの行列もそれほどではなく、最初からここに並んでしまえばいいのに、と思います。ちなみにこの列は大きい方の列で、小さい方は誰も並んでいませんでした。15分程度並んだ意味がほぼないトイレ行列でした。
係の方が立っていて、出口側から入ろうとする人を注意していましたが、それよりも列の並び方について分かりやすくする方がいいのではないかと思いました。
ちなみにThe Queueでトイレに行くのであれば、先ほどお見せした自転車置き場の先(ウィンブルドンパークの北側)にある仮設トイレをおすすめします。ほぼ同じ時間に撮影した写真ですが、こちらのトイレは待っている人がいませんでした。こうした非効率さもイギリスのあるあるです。

テント泊について

センターコートやNo.1コートの当日券を狙うのであれば、徹夜で並ぶことが必須です。テント泊をする場合は、前日に来場した順番に係員(Steward)の指示に従ってテントを設置していくことになります。テントのサイズはルール上は2人用までとされています。ですが、私が見た限りでは明らかに2人用ではないテントも見られました。注意されるのかどうかはわかりませんが、問題を避けるためにも2人用までのテントにしておくことをおすすめします。

列に並ぶ際に後述するキューカード(Queue card)という整理券が配布されるのですが、このキューカードを入手しておけば、基本的には列を離れても問題ないようです。キューカードを入手するまでは、トイレや食事などの購入など短い時間のみ列を離れることにしておいた方が良さそうです。

朝6時頃にはテントを片付けるように指示があり、先ほどご紹介したLeft Laggageという手荷物預かり所にテントや大型の荷物を預けます。

ちなみに、テントの行列がいつから始まるかと言うと、朝に当日のチケットを求める行列の横には、すでに翌日のチケット用の行列ができています。センターコートのチケットは500枚しか販売されませんので、並ぶ方も相当早めに並んでおかなければならないようです。

なお、ウィンブルドン開幕の日曜日のチケットに並ぶ場合は、前日である土曜日の14時以降でなければ並べないようになっています。それ以外の日は朝からでも並ぶことが可能です。

徹夜しない場合も早朝には並んでおくことを推奨

センターコートやNo.1コートなどのショーコートのチケットはいらないけど、会場に入場できるグラウンドパスは確実に欲しい、という場合何時頃に並べばいいのでしょうか?

答えは「その日がどんな日かによる」としか言えません。The Queueは日によって行列のタイミングが異なり、どの時間に行けば確実に入場できるとは言えないのが実情です。ですが、行列に影響を与える要素としては下記のことが考えられます。

  • 当日の天候、気温(雨や寒い日は並ぶ人が少ない)
  • 曜日(平日の方が少ない)
  • 行われる試合の注目度(有名選手の試合など)
  • 当日行われる他のスポーツなどイベント(EUROのようなサッカーイベント)

これらの要素を考慮して、あまり人が来ないような日であれば午後に会場に行っても待ち時間なしで入れるでしょうし、人が多く来る日には早々に行列がクローズされます。

あまりに多くの人が並んでしまった場合、あとから来てもチケットを購入できないということがありますので、できるだけ早めに並んだほうが良さそうです。私が聞いた限りでは午前8時時点で行列に並ぶことを打ち切られたことがあった、ということでした。

そのため、遅くとも午前7時頃にはウィンブルドンパークに到着できているといいと思います。

ウィンブルドンパークへのアクセス

ウィンブルドンパークへのアクセスですが、いくつかの方法があります。

電車

最もおすすめな方法は、地下鉄のディストリクトラインでサウスフィールズ駅に行き、ウィンブルドンパークへ歩いていくことです。電車での移動は、平日であれば早朝から電車が動いているため問題ありません。

ですが、土日に行こうとする場合はディストリクトラインの始発が遅いため注意が必要です。ロンドン方面からですと土曜日であれば7時頃着、日曜日ですと7時20分頃着が始発電車となりますので、ちょっと到着が遅くなってしまうかも知れません。

この場合はウィンブルドン駅にアクセス可能なテムズリンクやサウスウェスタンレールなどが早朝から動いていますので、そちらを利用する方がいいかも知れません。ウィンブルドン駅からウィンブルドンパーク駅へのディストリクトラインは週末でも7時前から動いています。

駅とウィンブルドンパークの位置関係は下記のとおりとなっています。

バス

始発電車よりも早くウィンブルドンパークに到着しておきたい、という場合はバスの利用も考えられます。ナイトバスがウィンブルドンパーク周辺を走っていますので、時間はかかりますが早い時間にウィンブルドンパークに到着することが可能です。39番や93番、N87番のバスがウィンブルドンパーク近くにバス停があります。

Uber・タクシー

電車やバスが動いていない時間帯には、やはりUberやタクシーを使うのが便利です。お金はかかってしまいますが、フレキシブルな移動を考える場合は有効です。

自転車

ウィンブルドンパークには自転車置き場が用意されていますので、自転車でウィンブルドンパークに移動するのも一つの方法です。ただし、帰りは公共交通機関が動いているため、片道のみの利用可能なLimeなどのライドシェア自転車を使うのが最も効率的な方法だと考えます。

The Queueに並ぶには、寒さ対策や待ち時間を過ごすための敷物や食料品など、荷物も多くなることが考えられるため、車で移動するのが便利です。

ですが、ウィンブルドン選手権期間中は特別な駐車規制が適用されるため、駐車場所には十分に注意する必要があります。こちらはワンズワースカウンシル(Wandsworth Borough Council)の駐車規制に関するWebサイトですが、毎年のウィンブルドン選手権期間中の駐車規制について通知しています。

緑色のゾーンは全日午前8:30~午後8:30の駐車はパーキングパーミット保有者に限られるため、それ以外の方は駐車することができないため注意してください。下記の緑色のゾーンです。ウィンブルドンパークに近い路上駐車はできないと思ったほうが良さそうです。

私個人的には、規制のないサウスフィールズ駅の北に1駅行ったイーストパトニー駅周辺に駐車して、バスや電車でウィンブルドンパークに移動するのをおすすめします。

こちらは日曜日のみの駐車可能ゾーンですが、もう少し離れると土曜日も駐車可能なゾーンがありました。車で近くまで移動して、そこからは公共交通機関で移動するのが最もコストと時間効率が高いかなと思います。なお、駐車する際には必ず駐車に関する標識をご確認ください。通常と異なる駐車ルールが適用されている場合があり、もし違反してしまうとすぐに罰金支払いの通知書が車に置かれてしまいます。

私の路上駐車での失敗談を含めた、路上駐車違反についてこちらの記事で詳しく説明していますので、よろしければご一読ください。

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ぶーたのThe Queue体験談

さて、ここからは私が今年2025年にウィンブルドンのThe Queueに実際に並んだ際の体験談を写真とともにご紹介します。先にも説明しましたが、The Queueの行列状況は日によって変わりますので、確実に当日券を入手したい場合は、早めの到着を心がけることをおすすめします。

先にThe Queueでの動きと時間についてマップで示しておきます。驚くことにウィンブルドンパーク到着から会場への入場まで6時間半かかっています。私の人生で最も長く並んだイベントかも知れませんが、ウィンブルドンでは割と普通のようです。

AM5:50ウィンブルドンパーク到着

7月6日の日曜日の朝、私の住むイーリングからイーストパトニー駅近くまで車で移動し、駅の近くの道路に路上駐車しました。そこからはバスでウィンブルドンパークに移動して、ウィンブルドンパークに到着したのは朝5:50頃でした。

朝の気温は15度ほどで、風も吹いていたため薄着では肌寒いくらいでしたが、周りを見る限りでは半袖半ズボンの方も多くいました。暑さ寒さの感じ方の個人差はイギリスで生活しているとよく感じます。
広場に到着すると、大きなQと書かれた紫色の旗を持った係の方を見かけました。このQの旗が列の最後尾を示しています。

列に並んでほどなく、係の方からQueue Card(整理券)を受け取りました。朝5:50到着で4784番目ということになります。表側には注意事項が書かれています。
Wimbledon APPをスマートフォンにダウンロードして、myWIMBLEDONアカウントを作成することを求められています。一般抽選に応募するためにはmyWIMBLEDONが必要ですので、すでに作成している方が多いと思いますが、チケット購入時にmyWIMBLEDON ID(下記の画面のQRコード部分)が必要となりますので、準備しておきましょう。私の場合は複数人で行ったのですが、myWIMBLEDON IDの提示は1人分で大丈夫でした。

裏面はこのようになっています。チケット代の記載やWimbledon APPのQRコードなどの記載がありました。

Queue Cardを受け取ったら、あとは列が動くまでひたすら待ち時間です。みなさん敷物などを敷いて、お酒を飲みながら談笑したり、本を読んだり、一眠りしたり、ゲームをしたり、それぞれくつろいで過ごしていました。

実はこのタイミングで列を離れた方も多くいたと思います。Queue Cardの番号がありますので、後から戻っても並んでいる人に番号を聞いて、元の場所に戻ることも可能です。

ちなみに、私の並んだ列はK10という番号の列になります。下の写真でK9の看板が見えていますが、そこから奥に行くに従って数字がK8、K7…と下がっていき、一番奥の方がK1の最前列となります。

K9の列までは看板のところに至ると列が次の列に移っていましたが、K10以降の列はそれよりも長く並んでいました。

K10の列がいっぱいになったら、今度はさらに隣にQの旗が来ていました。
行列は最終的にはK12辺りまで伸びていました。当日入場の打ち切りは午後4時を過ぎてもありませんでしたので、この日はそこまで混んでいなかったのかも知れません。
しばらくの間は列が動かないことがわかっていましたので、私はその辺りを散歩したり、朝ご飯を買いに行ったり、お土産を見たり、トイレに行ったり、眠ったりしながら待ち時間を過ごしていました。ウィンブルドンの当日のガイドブックもパーク内で売っていますので購入しました。12ポンドとお高いですが、観戦の記念になること間違いないです。

AM8:50並び直しで移動

The Queueでは、朝6時にテントが撤去されてから列の並び直しがあります。これは移動しやすいように列を詰める意図があるのでしょう。K1の列からチケット購入場所に移動しやすいように並んでいきます。
私の列K10の隣K9列までが移動を始めました。先ほどまであった列がなくなっています。そろそろ動き始めます。
私の並んでいたK10の列は午前8:50頃に移動が開始しました。一旦ウィンブルドンパークのThe Queue広場の南の端まで移動し、ぐるっと回って北側を先頭に並びます。

まだこの時点では前の方の列も5列くらい残っていました。まだまだ時間がかかりそうです。ここでも改めて敷物を敷き直し、リラックスして過ごします。正直少し肌寒かったです。

AM11:20ようやく移動開始

前の方の並び直しの列がゆっくり、ゆっくりと短くなっていくのを横目に見ながらひたすら待ち続けます。到着から5時間半、並び直しから2時間半経過して、ようやくチケット購入のために移動を開始しました。

移動中に列の先頭を見てみると、K2の列もすでにテントが立っていました。前日の午前中にもかかわらず、相当な人数が並んでいるように思われます。
駐車場の北側を進みます。何度も何度も途中で列が止まりながらの進行となります。

移動の途中にはトイレが設置されています。列の進みもそれほど早くなく、まだまだこの先で何度も進行が止まるため、ゆっくりとトイレに行くことが可能です。途中でQueue Cardの提示を求められたことはありましたが、特に番号はチェックされていなかったように思います。恐らく4000番台という、下の番号だったこともあるのでしょう。

AM11:55チケット購入完了、The Queue Village入場

列に続いて進んでいくと、ようやく白いテントが見えてきます。ここがウィンブルドンの当日券販売会場になります。WimbledonアプリのmyWIMBLEDON IDのQRコードの準備をしておきましょう。

チケット代金の支払い方法はクレジットカードのみとなります。Amexが公式スポンサーということもあり、私の大好きなBA Amexクレジットカードも会場のいたるところで使用できました。

British AirwaysのマイレージサービスAviosを貯めるのに便利なBA Amexクレジットカードについては、こちらの記事で解説しています。

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チケット購入後、WELCOME TO WIMBLEDONのゲートをくぐって、The Queue Villageに入場します。

このThe Queue Villageは、10時の開場前にThe Queueに並んでいた方が過ごす場所として作られています。そのため、大型ビジョンの前には多くのテーブルや椅子が設置されており、休憩することができるようになっていました。

他にもホットフードやドリンクの販売店や、ボール入れゲームのようなゲームが楽しめる場所が用意されています。トイレももちろん完備していました。
The Queue Villageで重要なのが、チケットリセールの登録です。このチケットリセールというのは、センターコートやNo.1コートなどのショーコートのチケットホルダーが途中で帰った場合のそのチケットをグラウンドパスホルダーに売るシステムです。午後3時から販売が開始されますが、登録の先着順にチケットが割り当てられるため、早めに登録しておいた方がいいでしょう。

リセールチケットはセンターコートで15ポンド、No.1、No.2コートで10ポンドとなっています。最初の販売価格と比べると非常にお得ですね。
私達はリセールチケットの購入は考えていませんでしたし、早く会場に入りたかったため、The Queue Village内の店舗を横目で見ながら先に進みました。TO THE GROUNDSのゲートをくぐります。

この先にも少し行列がありました。会場まではもうすぐです。

ようやく会場の建物が見えてきました。前に見えるのはセンターコートの建物です。

PM12:20ついに会場へ入場

セキュリティチェックを受けて、午後12:20にようやく会場に入ることができました。中は人であふれていましたが、コートに入れば椅子もありますし、場所を選べばゆっくりと過ごすことも可能です。

途中に2度の豪雨で試合が中断され、芝のコートの乾燥作業などもあり、実際に観戦できたのは3時間もありませんでした。6時間半並んだ結果としては残念なところですが、こうした環境変化もウィンブルドンの特徴なのかと思います。私としては、とてもいい経験ができました。

まとめ

以上、ウィンブルドン選手権のチケット入手方法およびThe Queueについて説明しました。まとめておきます。

  • ウィンブルドン選手権について
    ーThe Championshipsと言えばイギリスとつかなくても全英オープンテニスのこと
    ー1877年から始まった世界最古のテニストーナメント
    ー四大大会では唯一の芝コートが醸し出すクラシックな雰囲気
    ー「白」のドレスコードに込められた伝統
  • ウィンブルドン選手権の観戦チケット入手方法
    ー一般抽選(AELTC Public Ballot)に参加して当選する
    ーLTA抽選(LTA Officials Ballot)に参加して当選する
    ー当日券販売列に並んで(The Queue)チケットを購入する
    ーリターンチケットを購入する
    ーテニスクラブの割当チケットを購入する
    ー社債(Debenture)または公式転売チケット(Debenture Tickets)を購入する
  • 確実に当日券を入手するためのThe Queue攻略法
    ーThe Queueには便利な各種施設を完備
    ーショーコート(センターコートやNo.1コート)のチケットが欲しいならテント泊は必須
    ー徹夜しない場合も早朝には並んでおくことを推奨
    ーウィンブルドンパークへは電車・バス・Uber/タクシー・自転車などでアクセス可能。おすすめは車で近くまで移動して、そこから電車やバスでの移動
  • ぶーたのThe Queue体験談:待ち時間は6時間半!
    ーAM5:50ウィンブルドンパーク到着
    ーAM8:50並び直しで移動
    ーAM11:20ようやく移動開始
    ーAM11:55チケット購入完了、The Queue Village入場
    ーPM12:20ついに会場へ入場

ありがとうございました。

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ぷーた
ぷーたです!投資とポイント活動、ジョギングが趣味のロンドン駐在員です。お得活動のためには徹底的な調査と行動をしており、たくさんの方に情報を共有したいと思ってこのブログを立ち上げました。