イギリスについて

イギリスで必要となるチャイルドシートについて解説!~正しく使用していないと罰金!?ルールについて解説します~

どうも、ロンドン駐在員のぷーたです。
今回の記事は、次のような方の疑問を解決するために書いています。

  • イギリスで子どもを車に乗せるときには、日本と同じでチャイルドシートは必要なの?
  • イギリスでチャイルドシートを使わなかったときの罰則やチャイルドシートの使い方のルールを教えて!
  • イギリスでおすすめのチャイルドシートはどれ?

子どもを車に乗せるときはイギリスでもチャイルドシートが必要

イギリスでは、日本と同様にチャイルドシート(Child car seat)の使用が法律で義務付けられています。このルールは子どもの命を守るという非常に重要な役割を果たしています。交通事故の際、大人とは体格や骨の強度が異なる子どもは大きな衝撃を受けやすく、適切なチャイルドシートがなければ重大なケガにつながるリスクが高まるためです。

イギリスでも子どもを車に乗せるときには、年齢や身長、体重に応じた適切なチャイルドシートを使うことが求められています。特にイギリスの法律では「135cm未満かつ12歳未満の子どもはチャイルドシートを使用すること」と定められており、6歳未満の子どものみチャイルドシートの使用が義務付けられており、6歳以上の子どもへのチャイルドシート使用は推奨のみとなっている日本よりも厳しい規定となっています。また、法律に違反した場合は罰金が科される点は、日本よりもイギリスが厳しいルールになっていると言えます。

このイギリスのチャイルドシートに関するルールは、国内外問わずすべてのドライバーに適用されるため、日本からイギリスに来た日本人駐在員とその家族や、観光でレンタカーを利用する旅行者も必ず守らなければなりません。たとえ短距離の移動でも、チャイルドシートの使用は法律上の義務となっています。

また、イギリスでは車社会が根付いており、日常的に子どもを車に乗せて移動する家庭も多いです。私もロンドンの西にあるイーリングに住んでいますが、買い物や子どもの習い事などでは車を利用することが多く、チャイルドシートを含むイギリスの車に関するルールを知っておく必要があると思っています。

私がイギリスで車のルールで失敗した経験を踏まえて、下記の記事で車を運転するときの注意事項を説明していますので、よろしければご参照ください。

イギリスで車を運転するときに注意すべきポイント~ロンドン駐在員が自らの経験から交通ルールを詳細解説~こちらの記事ではイギリスで車を運転するときの注意事項を教えてほしい! イギリスの交通ルールはどうなっているの?イギリスで交通違反をしたらどうなるの?といった疑問にお答えしています。...

イギリスのチャイルドシートのルールは年齢・身長・体重で異なる


基本ルール:「12歳未満かつ135cm未満」はチャイルドシート必須

イギリスでは、子どもを車に乗せる際には年齢や身長、体重に応じて適切なチャイルドシートを使用することが法律で義務付けられています。

まず基本ルールとして、以下の条件のどちらにも該当する子どもを車に乗せる場合、チャイルドシートの使用が法律で義務付けられています。

  • 12歳未満 かつ
  • 身長135cm未満

この両方の条件に該当する場合、年齢に関係なくチャイルドシートが必要となります。つまり、具体的にはチャイルドシートの使用義務はこのようになります。

子どもの年齢 子どもの身長 チャイルドシート義務
10歳 130cm 必要
12歳 130cm 不要
10歳 135cm 不要
12歳 135cm 不要

10歳で身長が135cmある子どもや12歳で身長が130cmである子どもはチャイルドシート不要、10歳で身長130cmのように、「12歳未満」と「身長135cm未満」の条件に両方とも当てはまる子どもについてチャイルドシートが必要となります。

とは言え、実際にはルール上義務がなくても、12歳かつ身長135cmを超えるまで使い続ける家庭が多いように見受けられます。

体重別規格R44(旧基準)と身長別規格R129(i-Size新基準)

少しややこしいのですが、イギリスでは現在チャイルドシートの区分について、2つの規格が設けられています。それが、

  • 体重別規格R44(旧基準)
  • 身長別規格R129/i-Size(新基準)

の2つです。

もちろん「12歳未満」「135cm未満」の条件に当てはまる場合にのみチャイルドシートが必要なことには変わりありませんが、新しい企画の追加により、チャイルドシートの選び方に変更が出ています。

店舗やネットショッピングサイトによっては、これらの規格についての説明が曖昧になっているものもありますので、注意が必要です。

ここからは、2つの規格について詳しく解説します。

R44規格(旧基準)は体重別のグループ分類

イギリスでは、以前からチャイルドシートの種類が体重別に分類されるR44規格が採用されてきました。具体的には、体重別に以下のようなグループ(Group)に分かれています。
グループは0、0+、1、2、3の5つに分かれていますが、実際には0と0+、2と3はそれぞれ同じように扱われており、0(+含む)、1、2~3の3つのグループと考えられています。

R44規格はイギリスで長らく採用されてきたものですので、多くのイギリス人になじみがあるものですし、現在も広く使われています。そのため、店舗でも広く売られており、価格も安価で手に入りやすいです。

R129規格/i-Size(新基準)は身長別のグループ分類

一方のR129規格は、2013年にイギリスおよびEUで導入された規格です。EUにおいては、2024年9月1日以降はすべてのチャイルドシートがこのR129規格に適合しなければならなくなりました。イギリスでは、北アイルランドを除いてはまだR44規格とR129規格が併用されています。

R129規格の特徴は、身長別のグループ分けになっており、大きく分けると下記のとおりです。

  • 40cm~105cm:ISOFIXを備えたハーネスシート(i-Size)
  • 105cm~150cm:ISOFIXまたはシートベルトを使用するシート

このR129規格の成り立ちには、R44規格の不備に対応するものとなっています。具体的には、R129になって下記の点が改善されています。

  • R44では車の前後からの衝撃に耐えられる基準となっていたが、R129では車の前後に加え、左右のドア側からの衝撃への耐性が必要となり、より安全な基準となった
  • R44では体重でシートを決めていたが、R129では身長でシートを決めることにより、個人差が少なくハーネスやベルトがよりフィットするようになり、安全性が向上した
  • R44では12ヶ月頃までシートを後ろ向きで使用することとされたが、R129では15ヶ月まで後ろ向きで使用することとなり安全性が増した
  • R129ではISOFIXへの適合が義務化された

ちなみにR129規格を見るとi-Sizeと書いてあることが多いです。このi-Sizeは、ISOFIXというヨーロッパでは一般的となった車の後部座席に設置されているチャイルドシート取付用の設備に対応していることを示しています。

厳密にはR129とi-Sizeは意味が違うのですが、i-SizeはISOFIXの利用に重点を置いていてR129に準拠することを求められており、同じように扱われていることが多いように見受けられます。

ISOFIXは下記のように後部座席に挿入口が示されていて、この部分にチャイルドシートの金具部分を突っ込んで、シートの奥にある金属にかませることで固定されます。シートベルトで固定するチャイルドシートは取り付けが面倒ですが、ISOFIXで取り付ける場合、すぐに取り付けられ、かつ安全性も高いです。
ISOFIXが導入された経緯ですが、過去チャイルドシートを使用していても、正しい設置ができておらず重大事故になるケースが多発していたため、取り付けミスを防ぐために誰でも安全に設置可能なISOFIXがルール化されたということです。

チャイルドシートの種類とおすすめ

先ほど説明したとおり、イギリスではチャイルドシートには2つの規格があり、今のところはどちらを使用しても問題ありません。ですが、R129規格では安全性が向上していること、EUではR129(i-Size)のみが使用されていることを考えると、R129規格に準拠したチャイルドシートを使用した方が望ましいと言えます。

私がおすすめするチャイルドシートを種類別にご紹介します。

ベビーシート(Infant Carrier)

ベビーシート(Infant Carrier)は、新生児~15ヶ月頃(身長45〜85cm程度)までを対象とするシートです。首の座っていない赤ちゃんから使用するため、寝かせることができる様になっています。

設置方向は後ろ向きが前提となり、設置場所は助手席または後部座席で、助手席に設置する場合はエアバッグの設定をオフにして置く必要があります。取り付けは先に説明したISOFIXで取り付けられるものが一般的です(R129規格/i-Sizeでは必須)。

コスパ面で見た場合、こちらのベビーシートがおすすめです。使用は15ヶ月頃までとなるため、その先には買い替えの必要が出てきますが、比較的安価なため購入しやすいです。

Enfasafe i-Size Infant Car Seat, 40 – 87cm- (up to 13kg) with Newborn Insert, ISOFIX Base Compatible

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または、ベビーカーとセットになっているこちらのベビーシートもおすすめです。ベビーシートからベビーカーへと変形させることができるため、ベビーシートとベビーカーを分けて保つ必要がなく、車内のスペースを有効活用できます。

Doona+ Baby Car Seat & Travel Stroller Nitro Black – Convertible 0+ Car Seat and Pram with 5 Point Safety Harness – Ergonomic Pushchair and Travel System – ISOFIX Base Sold Separately

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幼児用シート(Toddler Seat)

続いて、赤ちゃんの首が座った頃から使用が可能になる幼児用シート(Toddler Seat)です。9ヶ月~4歳程度(身長61cm~105cm程度)の子どもが対象になります。

特徴としては、ハーネス(ベルト)で子どもを固定する方式となっており、回転させることで後ろ向きにも前向きにも取り付けられるようになっています。こちらのシートもISOFIXで取り付けらるものが多いですが、シートベルトで取り付けるものもあります。

Maxi-Cosi Mica 360 S, 360 Car Seat, 3 Months – 4 Years (61-105cm), Baby Car Seat, FlexiSpin Rotation, 5 Recline Positions, G-Cell Protection, Easy-in Harness Hooks, Tonal Black

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ブースターシート(Booster Seat)

最後にご紹介するのがブースターシート(Booster Seat)です。このブースターシートが実際には最も長い期間使用することになるシートです。先に説明したとおり、イギリスでは12歳以上になるか身長135cm以上となった時点でチャイルドシートが不要となり、個人差もありますが10歳程度でルール上は不要になるため、6年程度は使用することになります。

とはいえ、12歳まではチャイルドシートを使うご家庭も多いようなので、仕様上は4歳~12歳(身長100cm~150cm)の間で使用することができます。

形式は背もたれつき・なしのいずれか、または背もたれを取り外し可能なもので、車のシートベルトを使用して装着します。

背もたれ付きとしてはこちらがおすすめです。値段も安く、長い期間使えます。基本的には安全性の高い背もたれ付きを購入しておけばいいと思います。背もたれが邪魔になるくらいまで子どもが成長したら、チャイルドシートは不要であると個人的には思います。

Graco Junior Maxi i-Size R129 Highback Booster car seat with cupholders, Suitable from 100-150cm (approx. 3.5 to 12 years), Midnight fashion

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一応、背もたれのないブースターシートもご紹介します。

My Child Brundle Group 2/3 Booster, Grey, 700 g

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チャイルドシートを使用しないことによる罰則と例外

違反した場合の罰金は最大500ポンド!

イギリスのチャイルドシート使用は厳格に定められていて、例外はあるものの違反すると罰金などのペナルティが科されます。

ここでもう一度チャイルドシート使用義務について確認しておきます。イギリスでは以下の条件のどちらにも該当する子どもを車に乗せる場合、チャイルドシートの使用が法律で義務付けられています。

  • 12歳未満 または
  • 身長135cm未満

このルールは、イギリス国内で車を運転するすべての人に適用されるため、旅行や出張などの短期滞在者であっても守らなければなりません。

このルールに違反した場合、こちらのイギリス政府サイトの説明によれば、最大500ポンドの罰金を科される可能性があるということです。大人が正しくシートベルトを着用していない場合も同様の罰金が科されるというですが、チャイルドシートを正しく使用する必要があります。

なお、500ポンドの罰金は正式に起訴された場合であり、実際のところはFixed Penalty Noticeで100ポンドの即時罰金(on-the-spot fine)の支払いを求められることが多いようです。

ちなみに私の周りでチャイルドシートを正しく使用していないことで罰金を支払ったという例は聞いたことがありません。子どものお友達を乗せて送迎するような場合は、すべてチャイルドシートを用意することもできませんし、やむを得ないケースもあるとは思いますが、少なくとも法律上はチャイルドシートが必要となります。

チャイルドシートを使わなくてもいい例外ケース

一方で、チャイルドシートを使わなくてもいい例外ケースも存在します。下記のようなケースです。

  1. 緊急事態の場合
  2. 公共交通機関(タクシー・プライベートハイヤーやバスなど)利用時
  3. 予定外・短距離・必要な場合の一時的な移動
  4. 後部座席に2台のチャイルドシートがある場合

それぞれ解説します。

緊急事態の場合

たとえば「急病で病院に連れて行く必要があり、チャイルドシートを準備する時間がなかった」といった緊急時には、例外が認められる可能性があります。ですが、これはあくまでも命に関わるような緊急事態における搬送に限られ、単なる急ぎの用事などは該当せず、罰金の対象となります。

公共交通機関(タクシー・プライベートハイヤーやバスなど)利用時

認可を受けたタクシー(Hackney carriage)やプライベートハイヤー(Private Hire Vehicle)、バスなどの公共交通機関を利用する場合は、

  • 子どもが3歳以上 → 後部座席で大人用シートベルトを使用
  • 子どもが3歳未満 → 後部座席にチャイルドシートなしで抱っこまたは座らせる

とすればルール上はOKです。なお、このルールは「公共的に営業している車」に限定されており、Uberを使う場合も原則として対象となるようです。ですが、子どもの安全を最優先に考えるなら、事前にチャイルドシート付きのタクシーを予約するのが理想的です。

予定外・短距離・必要な場合の一時的な移動

予期せぬ短距離の必要な移動であれば、チャイルドシートが不要になるケースがあります。例えば、「祖父母の家に急に泊まることになり、そこにはチャイルドシートがなかったため使用せずに子どもを車に乗せた」というような場合が該当します。

ですが、あくまでもこのルールは予定外・短距離・必要な場合に限られますので、それを主張しても認められないケースがあることは理解しておく必要があります。

後部座席に2台のチャイルドシートがある場合

後部座席に2台のチャイルドシートが設置されており、3人目の子ども(3歳以上)を後部座席に乗せる必要がある場合は大人用のシートベルトのみでOKです。

確かに2列シートの場合、チャイルドシート3台を後部座席に置くのは無理ですので、合理的なルールだとは思います。

まとめ

以上、イギリスで必要となるチャイルドシートについて解説してきました。ここでまとめておきます。

  • 子どもを車に乗せるときはイギリスでもチャイルドシートが必要
    ーイギリスでは12歳未満かつ身長135cm未満の場合にチャイルドシート使用義務あり
    ー日本は6歳未満の子どものみチャイルドシートが必要、6歳以上は使用推奨
  • チャイルドシートの規格には体重別規格R44(旧基準)と身長別規格R129(i-Size新基準)があり、EUでは2024年9月1日以降R129規格のチャイルドシートが必要だが、イギリスではR44規格のチャイルドシートも使用可能
  • R129規格は下記の点でR44規格より安全性が向上
    ー車の前後だけでなくドア方向からの衝撃に耐えられる基準となった
    ー身長でシートを決めることにより個人差が少なくなった
    ー15ヶ月まで後ろ向きシートを使用することになった
    ーISOFIXへの適合の義務化
  • ISOFIXは金具でチャイルドシートを固定できる仕組みでチャイルドシートの取り付けミスによる事故を防ぐ
  • チャイルドシートの種類には下記の3つがある
    ーベビーシート(Infant Carrier)
    ー幼児用シート(Toddler Seat)
    ーブースターシート(Booster Seat)
  • チャイルドシートを正しく使用しなかった場合の罰則
    ー法律上は最大500ポンドの罰金が科せられる
    ー実際にはFixed Penalty Noticeにより100ポンドの即時罰金を求められることが多い
  • チャイルドシートを使用しなくてもいい例外ケース
    ー緊急事態の場合
    ー公共交通機関(タクシー・プライベートハイヤーやバスなど)利用時
    ー予定外・短距離・必要な場合の一時的な移動
    ー後部座席に2台のチャイルドシートがある場合
  • チャイルドシートを使用せずに罰金を支払ったことは聞いたことがないが、子どもの安全のために正しく使用が大事

ありがとうございました。

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ぷーた
ぷーたです!投資とポイント活動、ジョギングが趣味のロンドン駐在員です。お得活動のためには徹底的な調査と行動をしており、たくさんの方に情報を共有したいと思ってこのブログを立ち上げました。