【2026年版】円安・ポンド高はイギリス駐在員にどんな影響がある?~ロンドン生活で実感したことを実体験で紹介~
どうも、ロンドン駐在員のぷーたです。
現在住んでいる家の家賃3,300ポンドを、私がロンドンに来た2020年の為替レートで日本円に換算すると約43万円でした。
ところが2026年現在、同じ3,300ポンドでも約71万円です。たった6年で日本円換算では月28万円も上がったことになります。最近ニュースで「円安」「ポンド高」という言葉をよく見かけますが、ロンドンで生活しているとこれはニュースではなく日常の変化として実感します。
例えば、
- 日本に送金すると前より負担が大きい
- 一時帰国の航空券が高く感じる
- 日本円で見るとロンドン生活費がかなり高い
- 逆に、ポンドで受け取る給与の安心感はある
といった点です。
この記事では、
- 円安・ポンド高はイギリス駐在員にどんな影響があるの?
- 円安・ポンド高のメリット・デメリットは?
- なぜ円安・ポンド高になっているの?
といった疑問に回答しています。
結論を先に言うと、
- イギリスでポンド給与を受け取る人は短期的には安心
- 日本円で支払うもの(教育費・保険・住宅など)は負担増
- 生活全体では「円安メリット」と「負担増」が両方ある
2026年ポンド高・円安はどれくらい進んだ?
まずは円とポンド相場の推移を見てみましょう。
私がロンドンに赴任した6年以上前は、1ポンド=130円程度でした。以降の推移はざっとこのようになっています。
| 時期 | 1ポンド |
| 2020年 | 約130円 |
| 2022年 | 約160円 |
| 2024年 | 約190円 |
| 2025年後半 | 200円超 |
| 2026年6月2日 | 214.98円 |
2020年には1ポンド=130円だったものが、215円ですから日本円に対するポンドの価値が1.65倍になっているということです。50ポンドで買えるものが日本円では6,500円→10,750円となるのですから相当な変化ですよね。
例えば私の支出だと、円換算でこのようになります。
- 車の購入価格 15,000ポンド=322万円(2020年レートなら195万円)
- 家賃 3,300ポンド/月=71万円(2020年レートなら43万円)
数字にしてみるとインパクトの大きさがわかると思います。
なぜここまで円安・ポンド高になっているの?
「円安がすごい」と聞いても、なぜそこまで円が弱くなっているの?と思う方も多いですよね。
細かく見ると要因はいくつかありますが、駐在員目線では次の3つを押さえるとイメージしやすいです。
イギリスの金利が日本より高い
一番わかりやすいのは両国の金利差です。イギリスではBank of Englandが、物価上昇を抑えるためにここ数年高めの金利を続けています。
グラフで見てみましょう。こちらが過去20年の日本とイギリスの政策金利差です。日本は最近では少し金利を上げてきてはいるものの、イギリスとの差は歴然です。コロナ前までは日本とイギリスで大きな差はなく、その頃は円高となっていましたが、コロナ後のイギリス経済のインフレ引き締めのために金利を引き上げてからは円安が進行しました。
この金利差が円安ポンド高を生む理由は下記のとおりです。
- 日本の金利は低いため、日本円で銀行に預けても利息が少ない
- イギリスの金利は高いため、ポンドで銀行に預けると利息が高い
世界のお金が日本よりもポンドなどに流れやすくなり、日本円の価値が下がりポンドの価値が上がるのです。
駐在員の感覚でいうと、
イギリスの預金金利はけっこうつくのに、日本は低い
というのがあると思います。例えば私がメインで利用しているTrading212のCash ISA口座は3.6%の金利がつきますが、日本の預金ではSBJ銀行の定期預金1.4%が最も高い金利となっています。
この差が為替にも影響しているイメージです。
日本円が“安全資産”として買われにくくなっている
以前は、戦争やテロなどが起きて世界情勢が不安になると「とりあえず円を買おう」という流れがありました。ですが最近は、
- 日本の低金利
- 日本のエネルギー輸入増
- 円を持つメリットの低下
などにより以前ほど円が買われにくい場面も増えています。
たとえばこちらは2026年2月から4月にかけての日本円とポンドの為替相場となりますが、2月28日にイスラエルとアメリカ合衆国によるイラン攻撃が発生しましたが、一瞬円高に傾いたものの、その後すぐに円安に傾向に戻っています。
かつてはこうした戦争が起こるような自体では安全資産として多くの国、企業などが円を購入することで円高に触れることがありましたが、今回のイラン攻撃では影響は限定的でした。
これも円高になりづらい理由の一つとなっています。
イギリス経済が思ったより底堅い
イギリスはこの数年、
- インフレ
- 住宅ローン高
- 景気減速
などの不安材料がありました。実際にロンドン駐在員の私もインフレによる物価高は生活費の高騰に苦しむことが多かったです。
ですが一方で、
- 雇用が比較的強い
- 賃金上昇
- 金利が高い
という背景もあり、「ポンドはまだ強い」と見られやすい状況です。ニュースではイギリス経済のを不安視する報道もありますが、為替としては別の動きをすることがあります。この点は少しややこしいところですね。
円安でイギリス駐在員は苦しくなったのか?
円安でイギリス駐在員は苦しくなったのでしょうか?結論としては下記のとおりです。
- 駐在中は意外と影響が小さい
- 帰国時はむしろ有利になることもある
- これからイギリス駐在する人は影響あり
駐在中は意外と影響が小さい
これだけの円安ポンド高状況ですが、私はロンドン駐在中の給料をポンドで受け取っているため、実はそれほどの影響を受けていません。
私は日本の会社から出向している駐在員ですので、給料のベースは日本円です。昨今の円安傾向をそのまま適用すれば私の給料は数年前の70%位になってしまいそうですが、実際には、各種の調整が入りポンドでの手取りはそれほど減っていません。
これは主に物価調整手当という海外駐在員特有の手当が影響しています。
日本も最近では物価が上昇してきた、と言われてはいますがアメリカ、ユーロ圏と比較してその上昇幅は低くなっています。そのため、日本の給与テーブルをそのまま米ドルやユーロ、ポンド換算しても生活レベルは下がってしまいます。
第一生命経済研究所Webサイトより
そこで、会社は駐在員が日本と同じレベルの生活を送れるようにする必要があります。そこで利用されるのが物価調整手当です。この物価調整手当の算定には生計費指数という指数を使います。
生計費指数とは、
生計費指数は本国(ベース都市)を100として、本国通貨(日本円)で任地との相対的な物価差を把握したものであり、本国通貨、任地の現地通貨それぞれの為替変動と、本国と任地それぞれの物価変動の影響を受けて変化する値
ということです。つまりは日本と海外の物価の違いがあるため、日本の給与水準をそのまま外国の通貨に換算しただけでは期待される水準の生活ができない事が考えられるため、物価調整手当を支払うことでその調整をおこなうということですね。
毎月変動する会社もあるようですが、私の会社は半年に一回変更されることとなっています。イギリス駐在の場合、ポンドと円の為替変動の影響と、生計費指数の変動の影響を加味して、なんとなくは日本で生活していたときと同じような水準で生活ができるようにされているようです。
海外駐在すると日本勤務時と比べて額面金額給与は1.5~1.8倍、手取り給与は1.7~2倍くらいに増えるのですが、その理由は手当によるものが大きいです。
今回ご紹介した物価調整手当などの手当の解説など、海外駐在員の給料についてはこちらの記事で詳しく説明しています。
さらに、
- 英国での生活費
- 現地カード支払い
- 日常買い物
はポンドでおこなうので、心理的には安定しやすいです。
帰国時はむしろ有利になることもある
イギリス駐在中は生活費支出も多いですが、ポンドでの投資や高い預金金利を活かした貯蓄などである程度の蓄財もできると思います。
そのポンドを帰国する際に円安ポンド高の状態であれば、円転した際に多くの日本円を得ることができます。
例えば駐在中に5万ポンドの資金を作ることができた場合、
- 1ポンド=130円であれば650万円
- 1ポンド=215円であれば1,075万円
となり、同じ5万ポンドでもなんと425万円の差になります。
これからイギリス駐在する人は影響あり
円安・ポンド高で影響が受けるのは、日本からイギリスに必要資金を送金する場合です。特にこれからイギリス駐在を開始する人にとっては影響が大きいかも知れません。
赴任当初はポンド建の給料が入っていない状態ですので、ポンドをあまり持っていません。生活の立ち上げでは、家具や自動車の購入、住居のデポジットなどある程度のポンドでの出費があると思います。
そんな時は日本から現金を送金することになりますが、その送金レートは円安ポンド高の影響を大きく受けます。
同じ1,000ポンドを送金するのでも、
- 1ポンド=130円の場合 130,000円
- 1ポンド=215円の場合 215,000円
- 差額 85,000円
となりますから、日本円で比較すると大きいですね。円安の時にイギリス生活を立ち上げるのは少し不利に感じてしまいます。
筆者の実感する円安ポンド高
ロンドン生活をしていると、ポンドで支払うため円安を意識しないで生活をすることが可能です。ですが、ふとイギリスでの支払いをポンド換算すると、たとえば普段購入している4パイント(2.272リットル)の牛乳であれば、
- 2020年当時 4パイント1ポンド=130円
- 2026年 4パイント1.65ポンド=355円
となり、インフレも含めるとこの6年で牛乳代が日本円換算で2.7倍になっています!
実際にはポンドで支払うのでそこまで気にする必要はないのですが、日本円に換算してしまうとあまりの価格上昇に悲しくなってしまいます。
一方で、一時帰国や日本の支払いがあるタイミングではイギリスとの物価さもあり、かなりの円安を感じることができます。
日本円で価格を見ると少し安心するものの、一方で英国の生活費は軒並み高いので、トータルでは家計管理が大事だと感じます。
イギリスでの日本人駐在員の生活費についてはこちらの記事で解説しています。
円安ポンド高に対して駐在員としてやっている対策
ここまで円安ポンド高について解説してきましたが、おそらくこの傾向は私が駐在を終了して日本に本帰国するまで続いていくと考えています。
そのため、私としては現在保有しているポンド資産を円転して日本に送金することはまだしていません。
ですが、もう少し時間が経って日本への帰国が現実化してきた際には、ある程度円転するタイミングを分散して、万一私が日本に帰国するタイミングで円高になっていたとしても、円で得られる金額をそこまで減らさないようにするつもりです。
この日本への送金は、Wiseを使って手数料を抑えて行う予定です。
Wiseは一般的な銀行送金より手数料が安く、為替レートも分かりやすいのが特徴です。
Wiseを利用するメリットとデメリットについてはこちらの記事で解説しています。
円安はいつまで続く?
私がロンドンに赴任した2020年以降、総じて円安傾向が続いてきています。この円安傾向はいつまで続くのでしょうか?
当然ながら為替を正確に予想することはできません。ですが2026年現在も日本とイギリスの金利差は大きく、急激な円高になる材料は多くはないと考えます。
日銀の追加利上げやイギリスの景気悪化があれば、円高方向へ動く可能性もありますが、日銀の追加利上げは景気に与える影響を考えると短期的に大きな利上げは考えられないでしょう。
そうなるとこの円安傾向が円高方向に振れる要素はそこまで大きくないと考えます。そのため、私は帰国が近づいたら一度に円転せず、複数回に分けて送金していくことに鳴ると考えます。
まとめ
以上、円安ポンド高について解説しました。まとめておきます。
この記事のポイントをまとめます。
- 2020年に1ポンド約130円だった為替レートは、2026年には215円前後まで上昇した
- 円安・ポンド高の主な要因は、日本とイギリスの金利差の拡大である
- 以前ほど日本円は「安全資産」として買われなくなっている
- イギリス経済は不安材料もあるが、雇用や賃金が比較的堅調でポンドが支えられている
- 駐在中は物価調整手当やポンド建て給与により、意外と影響が小さい場合もある
- 一方で、日本への送金や一時帰国では円安の影響を強く受ける
- ポンド建て資産を持っている場合、帰国時には円安が有利に働く可能性がある
- 帰国が近づいたら円転のタイミングを分散することも検討したい
ありがとうございました。












